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第47話
「どこへ行くの……!?」
声には焦りと恐怖が混じっていた。
「心配するな。家に行くだけだよ…今日は親もいるから、お前を紹介したいんだ。」
そんな亮介の言葉に、ますます不安が募る…やがて車は見覚えのある住宅街に入り、かつて何度も訪れた亮介の家の前で止まった
亮介は男たちに二言三言、短く言葉を交わすと二人は頷き、今乗ってきた車に再び乗り込むと、そのまま走り去っていった。
和也はまだ戸惑いを残したまま、亮介に促されるようにして玄関をくぐる。
「ただいま」
亮介の声に応じるように、奥から、一人の女性が姿を現した。
その女性は、全身を高級ブランドで固め…まさに社長夫人といった風情の
中年女性だった。
和也の母親のイメージとはまるで違う。
「あら、亮介さんのお友達?」
「ああ、高校の時の友達で“三ツ橋和也”っていうんだ」
「それは、ようこそいらっしゃいました」
「こんにちは、初めまして…」
和也は少し緊張しながら、おずおずと挨拶をした。
「ほらな、嘘じゃないだろ?」
亮介が横で軽く言い添える。
和也の中にはまだ不安が残っていたが、こうして家族の人と顔を合わせたことで、少しだけ肩の力が抜けた気がした。
「久しぶりに会ったから積もる話もあるし、ちょっと自分の部屋で話してくるよ」
亮介がそう告げると、女性は優雅に頷いた。
「どうぞごゆっくり」
和也は亮介に導かれ階段を上り、二階の一室へと入った…ドアを閉めた瞬間
、笑みを浮かべて言った
「どうだ、懐かしいだろ?」
その言葉に、和也は胸が締め付けられる思いがした……もう二度と来ることはないと思っていたこの部屋に再び足を踏み入れることになるとは……そんな想いが胸の中に広がっていた。
「どうして僕をここへ…?」
気づけば、和也はそう問いかけていた。
亮介は無言のまま、和也を見つめていた…その表情には怒りも哀しみもなく、ただ真っすぐに見据える眼差しがあった。
「お前は、嘘が付けないはずだ……佳孝と付き合い始めたきっかけは何だったんだ?」
静かで抑さえた声だったが、その言葉には確かな威圧が感じられた。
和也は戸惑いながらも、目を逸らさず静かに答えた。
「昔のことを謝りたいって……僕の家に来たんだ」
「それで…和也はどんな態度をとったんだ?」
問い掛けは冷静だったが…どこか詰問のようでもあった。
「最初は戸惑ったよ……何で今さらって……自分でもどう接していいか正直分からなかった。気づいたら、成り行きで付き合っていたんだ。最初は気が進まなかった……でも……」
言葉の途中で止めた和也の脳裏に、佳孝の姿が浮かんだ……あの穏やかな眼差し、無言の中にある確かな温もり、決して無理に踏み込まず、ただ黙って支えてくれる安心感…彼に会うたびに、心の底に潜む喜びがひとりでに湧き上がる。
「今は……佳孝のそばにいることを後悔していない」
静かだが、確かな決意の籠った言葉だった。
それを聞いた亮介は、ふっと息を吐きゆっくりと天井を仰いだ。
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