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第4話
それからも穏やかに俺たちの交際は続いていった。
まだ手は出してない。だって求められてないから。平気?って聞かれればそりゃ正直欲は溜まるからすぐにでもやりたいけどさ。だけど俺から行くのは違うっていう変な自分で決めたことはルールがあって。
それでも欲は溜まるから密かに撮ったしーの写真や声を使いながら自分を慰める日々は続いていた。
最近はドライブやら映画やら街ブラやらを休みの度にしてる。会えなくても毎日しーから連絡は来る。
今日は待ち合わせして街ブラして食事して水族館に行ってっていう普通のデート。
待ち合わせ場所にはしーは必ず先に着いてる
遅れたことは一度たりともない。
手元を確認しながら時間を過ごすしーの立ち姿は遠目で見てもいつも美しくそこだけ切り取られた絵画のようで暫くこうして眺めるのが俺の習慣。
声を掛けてくる人間をスマートにこなしていく姿は本人は無自覚ながらすごいと思う。
「しーお待たせ」
地味でなんの良さもない俺を見た途端美しすぎるしーがぱーっと花が咲いたような笑顔になる。俺だけに向けられる皆とは違う表情。その表情に見惚れるやつは周りに大勢いる。彼氏や彼女が隣にいる輩だって頬を染めるんだ。
けどその視線は俺だけ見てる。それが見られることが優越感なわけで。
だけど俺が来てもチャレンジャーは後を絶たない訳で。
「あのすいません」
俺なんて鼻から眼中にないような素振りでしーに普通に声を掛けるテレビで見るみたいなものすごく美人な女がやってきた。
「僕ですか?」
「はい。あの…私道に迷っちゃって…教えてくれませんか?」
さり気なく自分のでかい柔らかそうな胸をしーに押し付けて嫌味のない程度のボディータッチ。
自分が断られるなんて微塵も思っていないこの売婦。なんて醜いんだろう。
「どちらに行きたいのですか?」
それでも優しいしーはさり気なく腕をどけ距離を空ける。天性のものなんだろう。本人は自分のことには無沈着。自分が求められるなんて全くもって考えもしない男。
しーは丁寧に道を教える。別にしーが教えなくても最近できた人気のカフェなんだからわかるだろうに白々しい
「あの…ありがとうございます。お礼にここご一緒しませんか?」
「早く行った方がいいですよ。あなたが欲しいものってとても人気があるからすぐになくなってしまいます。そこはとても人気のお店なのですから。どうぞ気をつけて。あなたはとても綺麗だから変な男にはお気をつけて。では連れを待たせていますので失礼します」
そういうと俺の方を見てにこりと微笑んだ
「みぃくんお待たせ。行こうか」
しーは俺の腕に腕を絡め少し寄りかかる。俺の方が背が低いから締まらないけどまぁいいや。
「あ!あの」
「まだ何か?」
「その人は…」
「彼ですか?あなたに教える必要ありますか?ではこれ以上邪魔されたくないので失礼します。いこっ。みぃくん」
「いいの?こんなに美人なのに断っちゃって」
俺がそう言うとお前が邪魔なんだよ。空気読めよって感じの視線を女から浴びる。
それでもしーは俺優先だから俺に伺いを立てる
「みぃくん行きたい?なら行ってもいいよ?だってみぃくん美人な人好きでしょ?」
ちょっと諦めたような表情になるからそれがもうたまらない。
「いや。しーより美人じゃないし興味ないな」
「僕は美人じゃないよ?こんな人を美人と言うんだよ?」
ほんと…しーは突拍子もない事言うんだから…女が真っ赤になってるじゃねぇか。言われ慣れているだろうに極上の男に言われると生娘みたいになるらしい。
「俺は早くしーと約束してたところに、行きたいかな」
「そっか。」
あからさまに照れるしー。自分が優先とされることにまだまだ慣れないようだ。
「お礼とか大丈夫なので楽しんで来てくださいね。では」
まだ何かしら言いたげな女に背を向けて歩き始める。ちらりと女を見ると悔しそうにこちらを睨みつけていた。
いい気味だ。思い通りにいかないことはいくらでもあるんだ。なんでも手に入るわけじゃないんだよ。クソ女。女を見つめ舌を出してやると怒りながら立ち去っていった。
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