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第6話 令和の料理男子2
「キスだけって言っただろ」
「うん。どこにとは言わなかったよね?」
琥珀はいけしゃあしゃあと笑うと、ちゅっと乳首にキスして口に含んだ。さっきからこねられていたそこはじんとした快感を伝えてきて、オレはめちゃくちゃ焦った。
「もうやめろって」
「まあまあ。ね、とりあえず、触りっこしようよ。こんなになってて我慢するの辛いでしょ?」
え、いつの間にそんな。オレの昂ぶりをチノパン越しに撫でて、琥珀はにやりと口角を上げた。ああ、これが攻め様の顔なのか。不覚にもオレはその艶っぽい笑顔に見とれてしまった。
「ほら、俺にも触ってよ」
ソファに押し倒されて、互いに触りあっていると気持ちよくて思わず腰が揺れてしまう。
「セナ、気持ちいいよね?」
「ああ」
こんな状態で嘘もつけなくて、しぶしぶうなずいた。琥珀は目を細めて笑いながら、耳元でささやく。
「じゃあ、もうちょっと先に進んでみようか?」
「先?」
ちゃっかりとローションをまとった指先が後孔に触れてきて、オレはあわてて腰を跳ね上げた。
「待てって。おい、やめろっ」
うんうんとオレの抵抗を軽くいなしながら、琥珀は指先でそこを押してくる。絶妙に体重をかけられて押し倒されて、まったく体を起こせない。
ゆるゆるとそこを揉むように撫でて、ぬるりと指が入ってきた。
「やだ、琥珀」
不安な声を上げてしまうオレに、琥珀は「いい子だから」とちゅちゅと耳元や首筋にキスをする。あほか、そんなことでごまかされないっつーの。
「嘘つき」
ほかにも言いたいことはあったと思うが、そんな言葉しか出て来なくて、それを聞いた琥珀は「まいったな」と苦笑して眉を下げた。
「反応いいし、このまま抱いちゃおうかと思ったけど、そんなに嫌がられると罪悪感わいちゃうなあ」
「いいからもう抜けって」
「もうちょっとだけ、ね? ほら、この辺かな?」
そう言って琥珀はゆるゆると中を探るように指を動かす。まずいと思った瞬間、ビクッと全身が跳ねた。
「あ、よかった」
よかったじゃねーわ。前立腺を探し当てた琥珀はますます滑らかに指を動かし、オレは一気にボルテージの上がった快感にパニックになる。
「あっ、あ、やめっ……、おい」
「すごいね、セナ。きゅうきゅう締めてくるね」
耳元で囁く琥珀の声と不穏に動く指にぞくぞくと快感が駆け上った。
「いいよ、そのまま感じて。無理やり抱いたりしないから」
制御できない快感に翻弄されて、オレは涙目になっていた。
「だめ、こはく、いや……っ、あ、ああっ」
中を擦られながら絶頂まで導かれて、放出後の脱力感にぐったり倒れこんだ。
「なんつーことをしてくれてんだ」
「えー、気持ちよかったでしょ? 腰揺れちゃっててかわいかった」
「言うな!」
にやにやしている琥珀に枕をぶつけて、オレは背を向けた。
「まあまあ。ね、この先は知りたくない?」
肩越しに顎をのせて、琥珀が甘えるようにすり寄ってくる。くそっ、攻め様のくせになんだそのかわいさは。
「気になるよね? せっかく理想の攻め様を試さないなんてもったいないことしないよね?」
ようやく息を整えたオレはどうにか首を横に振った。
「昭和野郎が強引すぎたの?」
そんな無茶はしないはずだけどと首を傾げる琥珀にため息交じりに答えた。
「してないっつーの」
「え?」
「キスしただけで返したって」
「あらら、かわいそうに」
「かわいそう?」
「そうだよ。俺たち攻め様はオーナーを喜ばせたいのさ。攻め様はオーナーに喜んでもらって、オーナーは攻め様に愛情を注ぐ。これが正しい攻め様とオーナーの関係だよ」
だから俺にセナを喜ばせて?とささやいて、人を魅了せずにはいられない笑顔を見せる。くそっ、顔がいいとそれだけで得するよな。
「もう十分、喜んだから」
「セナ、抱かれた経験は?」
「ない」
「じゃあ試してみようよ」
「もう十分だって。よくわかったよ」
「だーめ。指二本で満足されちゃ、理想の攻め様の名折れなんだよね」
困ったな。確かに理想の攻め様のテクを体験して研究してみようと思ったけど、それはデートとか会話とか、そういうコツみたいなものを勉強するつもりだった。
「誰とも経験したことのない快楽をあげるよ」
琥珀はオレの瞳の奥まで暴くような不思議な目の色でオレを見つめた。
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