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第7話 今後座るところは……

「んっんん」 もう少しで起きそうだな気配だった。 眠るエストレヤに唇を合わせ、顎を掴み少し口を開かせた。 息苦しさから瞼が開き、美しい炎のような赤い瞳が俺を映す。 「んっんぁむっんっんはっんむっんっはぁはぁはぁはぁ」 寝起きと共に激しいキスを贈った。 「おはよう」 「ぉっおはようございます?」 「王子のキスでお姫様は目覚めました。」 「ぇっおひめ…ぁむっんっんっはっんんんぁんはぁはぁはぁはぁ」 言葉の途中だったがキスで塞いでしまった。 こいつの唇柔らかくて旨い。 昨日の今日でキスに馴れるはずもなく、舌を絡めるキスをするとすぐに息を上げていた。 「…身体は平気か?」 「はぁはぁはぁ…ぅっんっ…へっき。」 「無理してねぇか?」 「んっ…」 「風呂行くか?」 「ぁっはい、どうぞ。」 「どうぞって、一緒に行くんだよ。」 「いィっ一緒?」 一緒に入るという選択肢を知らなかったのか、声が裏返っていた。 「一人で行けんのかよ?」 「僕はだっ大丈夫です。」 恥ずかしくて拒否したんだろうが、自分の身体の事をまだ分かっていないようだった。 初めては大抵…。 「ふぅん、なら立ってみな。」 「え?はい。」 エストレヤは体勢を起こそうとしただけで腰に痛みが走ったようだが、我慢して起き上がっていた。 布団を捲り自身が裸であるのを認識すると、慌てたように布団を手繰り寄せていた。 この時点で恥ずかしがってたらこの後平気か? 綺麗な後ろ姿を今すぐ引き寄せ痕を残したい衝動に駆られるも、エストレヤの行動を優先した。 ベッドから降りようと足を付き、立ち上がろうとした瞬間「ぁっ」と微かな悲鳴をあげずり落ちていった。 足腰に力が入らないのだろう。 「無理すんなよ。」 ベッドから降りエストレヤを抱き抱え立ち上がり、裸の俺たちは風呂場に直行した。 その際「抱き抱えられたら腕は?」と聞けば、俺の首に腕を回し身を寄せた。 それから二人でシャワーを浴びた。 魔法の世界なので青い石に魔力を流すとお湯が出た。 エストレヤの背中にお湯が当たるように立たせ、俺は正面に立ち抱きしめるようにお尻を洗っていった。 指を挿入すると「ぁっぁっグ、グラキエスさまっ」と助けを求めるように名前を呼ばれるもキスで口を塞ぎ指で中をかき混ぜた。 エストレヤの中に「抵抗」「拒絶」という言葉は無いのかもしれない、そう思わせるくらいなんでも受け入れてしまう子供みたいに素直な奴。 「大丈夫、俺に任せてろ…綺麗にしているだけだから。」 「んっ。」 俺にしがみ付き、小さな声で頷いていた。 エストレヤの身体から俺のモノが指に絡み付き出てくる。 数回繰り返し綺麗になっていく間、エストレヤは声を我慢しながら喘いでいた。 声にならない吐息が風呂場に響き渡っているが、本人は声を押さえることに必死で分かっていなかった。 「もう終わった、頑張ったな。」 抱きしめると俺の胸に顔を埋めていた。 視線が合うのが合図のようにキスをしていた。 お互いお湯で全身を流し身体を洗い合った。 互いの身体を泡だらけにし抱きしめ合い、俺が一方的に身体を触りまくっていたが「これは洗っているだけだ。」と言えばエストレヤは素直に信じていた。 泡を洗い流し綺麗な身体が現れる。 洗ったばかりの身体に口付ければ、エストレヤはイヤがることなく受け入れる。 エストレヤは声を必死に押さえていても、風呂場ではかなり反響し耳に届き、感じている声を聞きながら全身を舌で愛撫した。 かくんと膝から力が抜けるエストレヤを抱き止め、欲望に流されていた俺の思考は彼の姿で冷静になった。 初めてを経験したばかりの人間を追い詰めるように欲深く求めている自分に驚いた。 なぜこうもエストレヤを求めてしまうのか、自分でもわからない。 俺が強欲なのか、エストレヤがそうさせるのか。 反省しながらエストレヤの身体を綺麗にした。 このまま風呂場にいては再び始まると予感したので、理性があるうちに服を着させた。 エストレヤには俺の服を渡し、戸惑いながらも着ていた。 サイズの合っていないエストレヤには大人っぽすぎる服で、食堂に向かった。 近すぎる距離にエストレヤの腰を抱く俺を目撃した生徒達は言葉を失っていた。 周囲の目を気にしながら戸惑いつつ歩くエストレヤと他人なんて興味無いと言わんばかりに堂々と歩くグラキエスの姿は注目の的だった。 清廉潔白、品行方正、完璧すぎる氷の貴公子が婚約解消に記憶喪失で騒がせたかと思えば同級生の腰を抱きながら歩いている。 多くの生徒の頭は混乱するばかりだった。 「エストレヤ、ここで待ってな。」 二人分の食事を手にエストレヤの待つ席に向かった。 俺が二人分の食事を手にし、その相手がエストレヤ イグニスであることに周囲の生徒は動揺を隠せずにいる。 「待たせたな。」 「ぅんん」 エストレヤは顔を隠すように下を向き、静かというより存在を消すように座っていた。 「どうした?」 「ぁっ…あの…僕といると…グラキっんあむっんっんはぁっんん」 周囲の反応からしてエストレヤはいつもこのように不快な視線に一人耐えていた事が窺えた。 悲しい表情で俺に別れを告げそうだったので頭をおさえ口を塞いだ。 その時、ざわめきが起きたが興味がなかった。 目の前のエストレヤしか見えていなかった。 「食わねぇと体力持たねぇだろ?」 「へぁっ?」 「この後もエストレヤは俺の部屋に来るんだよ。お前を部屋に帰すわけねぇだろ?それとも俺がエストレヤを送るついでに泊まるか?俺の部屋かエストレヤの部屋かどっちが良い?」 俺かエストレヤの部屋かを二択にさせ、一緒にいないという選択肢はさせなかった。 「…ぁっ、グ、グラキエス様の部屋に…」 「あぁ、なら確りと食わねぇとな。」 「んっぁむっんっふっはぁっん」 エストレヤの唇見てるとキスしたくなり、我慢することなく奪った。 周囲に晒されてエストレヤから抵抗の意思を感じるが、俺は自分の欲望を優先した。 「さぁ、食えよ。」 「はぁはぁはぁはぁ…ぅん」 俺達は食事を始めるも未だに多くの視線を感じていた。 それは、食事を終え食堂を出るまで続いていた。 帰る時もエストレヤの腰を抱き、必要以上に至近距離だった。 向かった先は当然俺の部屋で、俺がソファに座るもエストレヤは躊躇っているようだった。 「座らないのか?」 「…ぅっうん」 大人しくソファに座ろうとしていたが、俺との間に距離があった。 「エストレヤ…何処に座ろうとしてんだよ?」 「へ?ぁっ…ぇっと…」 何がだめなのか分かっていない表情で困惑していた。 苛めたいわけではない、けどこんな表情も良いな。 「エストレヤ」 エストレヤの手を取り導くと素直に従い、俺の前に立たせ腰を引き寄せ俺の膝の上に跨がらせて座らせる。 「ぇっ……あの……」 「今日からエストレヤはここに座ること。いいな?」 「ぇっでも…」 「…ぁむっんっんっはぁっんつふぅんっんはぁはぁはぁ」 反論は許さないと言わんばかりに唇を塞ぎ、初心者のエストレヤには、かなりの効力があった。 「エストレヤ返事は?」 「はぁはぁはぁ…はっ……い……」 キスで翻弄し考える力を奪い、半ば強制的に合意させた。 今日からエストレヤの座る場所が決まった瞬間だった。

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