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第30話 婚約が決まれば

食事までの時間談笑することとなった。 「エストレヤ」 名前を呼び手を伸ばすと、首をかしげ立ち上がり俺の元へとやって来た。 その場に居る全員が俺達に注目していた。 「座るときは?」 「えっ…でっでも…今は…」 周囲を確認して、父親と視線を交わしていた。 「良いから。」 エストレヤの視線を俺に戻した。 「………」 俺を跨いで膝に座るエストレヤの腰に腕を回した。 「もう婚約したんだ、隠すことねぇだろ?」 「ぇっぁっ…んんあむっんんはぁんむっんん」 すげぇガン見されてる。 僅かに抵抗をみせるエストレヤを抱きしめる手に力を込めキスを続けた。 一日ぶりのキス。 「エ…エストレヤ?」 なんとか状況を把握しようと侯爵がエストレヤの名を呼ぶ。 「…だめぇん…みんな…みてる…」 同級生ではなく、家族や使用人に見られる恥ずかしさに耐えられないでいるようだった。 「婚約者なんだから、気にするなっ」 「んっんやぁんだめぇんんぁっ」 エストレヤの唇から離れ首や鎖骨に移動する。 今日の為に痕をつけるのを我慢していた綺麗な首に強く痕を残していく。 「…ア…アティラン様…よ…よろしい…かな?」 折角エストレヤとイチャついていたのに…。 「はい。」 返事はするもののエストレヤの首を可愛がるのを続けていた。 「…二人は…その…もう?」 「もう?」 やばいなこのおっさん。 エストレヤとは違った意味で揶揄かいてぇわ。 「その…だから…既に…関係があるのか?」 「関係?」 ハッキリ言えよ親父。 ハッキリ言ってくんなきゃアティランわかんなぁい。 「エストレヤと…したのか?」 「した?」 もう、言っちゃえって。 「セックスをしたのか?」 ひゅー直球、言えたね。 「だって?どうするエストレヤ?正直に答えるか?」 エストレヤの耳元で囁くも、静まり返っていた部屋では皆に聞こえていたはず。 「………」 頭を振りながら俺の胸に顔を埋めた。 「お父さんに嘘吐くの?」 「………」 エストレヤは嘘を吐くという言葉にビクッと反応した。 「どうする?」 耳元で悪魔のように囁き続けた。 「…ぃぃよ…言って。」 エストレヤは素直で良い子だった。 俺がエストレヤに尋ねた時点で大体察するんだけどな。 現に侯爵は怒りで握った拳が震えていた。  「わかった…ちゅっ…してますよ、毎日。」 「にゃっ」 態と「毎日」と付け足したことで、エストレヤが可愛く鳴いた。 「エストレヤっこっちに来なさい。」 「はっ…はい。」 立ち上がろうとするのを止めた。 「だぁめ…エストレヤが座るのは俺の膝の上だろ?」 おでこをつけ唇が振れそうな距離で甘えるように告げた。 「…ぅん」 「エストレヤっ、膝に座りたいなら私の膝に座りなさい。」 どうにかしてエストレヤを俺から引き離そうとするのは親としてか体裁からか。 おっさん、自分がなに言ってっか分かってる? 「んあ?それは違うんじゃねぇの?あんたの膝の上に乗れんのは今、あんたの隣に居る奴だけだろ?」 「………」 反論できず、エストレヤの両親は二人で見つめあっていた。 「アティラン…いつから二人はそんな関係なんだ?」 今まで何も言わず沈黙を貫いていた父親が遂に動いた。 「あー、俺が学園に戻った日からっすね。」 「その日から…エストレヤ様と?」 冷静を保ちながら声が震えてますよ。 「だよな?」 「………」 エストレヤに同意を求めるも必死にしがみつく姿が可愛い。 「エストレヤ」 甘く名前を囁き頬にキスを贈る。 「恥ずかしい?」 「……ん」 耳まで真っ赤にさせ一向に俺の胸から離れない。 「俺は浮かれてるのかもな…婚約者になれて。」 俺の胸からエストレヤの感触が離れていく。 「……ぼくも…うれしっ…んんっんぁむっんん」 キスできる隙を俺は見逃さなかった。 「ん゛っんん…ん゛っんん」 侯爵に咳で止めるよう促された。 「エストレヤ…アティラン様と散歩でもしてきてはどうだろうか?」 侯爵にここを離れ、イチャつくのはよせと指摘された。 「ぁっはい」 「なら、エストレヤの部屋を案内してくれよ。」 「にわだぁ、庭を案内してさしあげなさい゛」 侯爵は叫びつつ、精一杯冷静さを見せるように提案してきた。 「庭だって、行くか?」 「…ぅん」 エストレヤは俺の膝から降り俺が立ち上がるのを待っている。 俺はエストレヤに手を差し出した。 エスコートを望むように。 エストレヤは俺の意思を汲み取り、慣れない手付きで俺の手を取った。 立ち上がり手を繋いだまま…から腰を抱いた。 望みとしてはエストレヤの部屋のベッドに案内して欲しいものだったが、今日ぐらいは侯爵の言葉に従い庭を散歩することにした。

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