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第56話 会えない時間、愛と言うより妄想が育っていく

「…と言うことで、共同名義で出店してみませんか?」 遡ること数時間前。 授業の合間に学園主催のパーティーでのダンスの事を相談しに教師を訪ねた所、ダンス等のパーティーについてはプロフ先生に聞くべきとたらい回しのようにされプロフ先生に辿り着いた。 「まだ記憶が戻ってなくて、ダンスも全くなんです。」 「ん~無理にダンスしなくても、グラキエスは以前も誰ともしてませんでしたよ。」 「俺は今はエストレヤと婚約してます。記憶が無い俺にとっては、たかがダンスですけどエストレヤは違う。婚約者がいるのにダンスしなかったら良からぬ噂がたつと聞きました。俺の所為でエストレヤに迷惑をかけるのは嫌なんです。俺はエストレヤの婚約者なんで。」 俺がハッキリ告げると教師は少し驚いていた。 「…そうですか、分かりました。明日の放課後から練習しますが2週間しかありません、やるなら覚悟してください。」 「はい、よろしくお願いします。」 教師に頭を下げ教室に戻る。 明日からエストレヤと共に居る時間が減るな…。 だけどここで練習サボってパーティーでダンス出来ずその日からエストレヤと不仲説なんて噂でもたったら腹立たしいな。 噂を流した奴も練習サボった俺自身にも苛立って仕方がないだろう。 噂がたつ立たないが俺の努力次第なら、努力するしかない。 婚約者同士がダンスしないとどんな風に見られるのか知っていながら、エストレヤは俺を優先して我慢していた。 俺が安易にダンスしない発言をしたので、言葉を飲み込んでしまっていた。 俺が聞かなかったら、きっと言わなかっただろうな。 エストレヤが我慢しなくなるには、俺の発言次第だよな。 気を付けねぇと。 「グラキエス様っ」 教室へ入ろうとすると、見しらぬ生徒に呼び止められた。 完全に待ち伏せされていた。 「ん?」 「あのぉ、昼休み少々お時間をよろしいでしょうか?」 「どのくらい?昼はエストレヤと食事するから遅れたくねぇんだよな。」 「…では、放課後は…。」 「あぁ、放課後なら…。」 「よろしくお願いします。」 名前も知らない彼と放課後話すことになった。 名前聞くの忘れたし、あいつも名乗ってねぇ。 そんな奴が俺に何の用だ? あの男、どっかで見たことがあるような気がしなくもない。 考えても思い浮かばなかったので考えるのをやめた。 そんな重要ではないだろうと教室に戻り、その後授業を受けた。 昼にはいつものようにエストレヤの教室に向かい共に食事し中庭で寛いでいる。 エストレヤを膝に乗せ、腰を抱き唇を何度も掠めながら会話を続けるも周囲の視線なんて気にならなかった。 最近では俺とエストレヤの香りは区別が付かない程似ていきた。 「エストレヤ、明日の放課後からダンスの練習することになったから先に部屋にいろよ?」 「…うん、わかった。なら、今日は一緒にいられる?」 「あぁ…あっ忘れてたわ。なんか話があるって呼ばれてたな。」 「話し?…誰と?」 「知らねぇ奴。名前聞くの忘れたわぁ。」 「そう…なんだ…。」 「…浮気じゃねぇよ。」 心配なのに尋ねてこないよな? 浮気してねぇのに詰め寄られるのは面倒だが、たまには俺を独占してほしい。 「…んっ」 「他の奴に触りてぇなんて思わねぇよ。」 「ぅん」 エストレヤの顎をとり深く唇を重ねた。 逃げようとするエストレヤを腕の中で閉じ込め、唇を離さなかった。 周囲がざわめきだすも、キスをやめなかった。 中庭にいた生徒や校舎から覗いていた生徒も視線を逸らすことなく俺達のキスを見続けていた。 「はぁはぁはぁ」 唇を離すと潤んだ瞳のエストレヤと目が合う。 荒い呼吸整えるために開いた口が色っぽく俺を誘い再び唇を重ねていた。 エストレヤは抵抗するも、力で押さえつけた。 微かに唇が離れると「だっめ」と俺を誘惑しながら拒絶する。 タイミングが悪く、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。 これからだろ…。 離れる前にエストレヤを強く抱きしめる。 「アッティ…ラン…もう…行かなきゃっ。」 いつもサボりたがる俺は次第にエストレヤから信用されなくなり出した。 隙あらばエッチしようとする手を止められない。 「…ん゛ー…エストレヤ。」 「ん?なに?」 「エッチしたい。」 欲望が押さえきれず言っちゃったよ。 「…部屋…でね…。」 小さな声で顔を隠しながら言う姿は襲ってくれと言われているように感じるのは俺が悪いのか? 「…わかった、ならエッチな格好で待ってて。」 「へっ…エッチ?」 予想外の言葉に狼狽える瞳が俺を写していた。 俺も自分がこんなことを言うなんて思わなかった。 さらっと出たな…。 「そっ、エッチな格好で俺を出迎えて…ちゅっ。」 「………。」 「エストレヤ授業遅れるぞ。」 「ぅっうん」 エッチな格好が思い浮かばず困った表情のエストレヤも可愛いな。 エッチな格好…エストレヤはどんな姿で現れるか楽しみだな。 だめだ、油断するとエストレヤの事考えてニヤケてしまう。 どんな格好で出迎えてくれるんだろうか…。 だめだ、それしか考えられなくなった。 エストレヤの頭を俺で一杯にする予定が俺の頭がエストレヤで一杯になった。 淫らに誘うエストレヤを妄想しながら頭の片隅で授業を受けた。 待ちに待った放課後だが、俺を待っていたのは大柄な男だった。 「あぁ、話があるって言ってたっけ?」 忘れてた。 約束があったからエストレヤと別々に帰ることになって、エッチな格好で出迎えてくれっていったんだ。 「はい。カフェテリアまで良いですか?」 「あぁ」

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