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第83話 恋人・婚約者の聖地 中庭

あの後すぐおっさんと両親に手紙を送り、全てを丸投げにした。 そんで大人達がどんな決断を下したかというと、ユーベルは学園を去っていた。 噂では、何処かの後妻に入ったらしい。 誰もなにも言わないが、公爵家が動いたと思われているだろう。 それで良い。 今後下らないことを仕掛けて来る奴は現れないだろう。 エストレヤに変な奴が近づくのを遠ざけられ、警戒している子爵も自然消滅してくれたら尚良い。 「グラキエス」 「あぁティエンダか、どうした?」 「今日の放課後、店について他の奴とも話したいんだ。ダンスの練習する前に時間良いか?」 「あぁ構わない。」 店か…。それもあったな…。エストレヤに食べさせたかっただけなんだけどな。 昼休みにはいつものように食事をとり中庭でエストレヤとイチャついていた。 以前とは違い隣にティエンダとフロイントも仲間入りしている。 膝に乗せ会話しているが、二人がキスをしたのは見たことがないな。 人前でのキスは婚約初心者にはハードルが高いのか、まさかとは思うが未だにキス未経験だったりしないよな? もしそうなら清い付き合い過ぎるだろ。 それぞれのペースがあるから俺が急かすべきじゃないけど…キスくらい良いだろ…。 一度してハマって何度もしそうだけどな。 「どうしたの?」 婚約初心者の事を考えていたらぼーっとしていた。 エストレヤが目の前に居るのに。 食べるようにキスを始めると俺に合わせて応えてくる。 教室や廊下では少し抵抗を見せるが中庭では素直に受け入れるようになった。 俺達以外にも中庭でイチャつく奴が増えたからだろう。 偶然、他人のキスを目撃した時硬直したのには面白かった。 俺達も数えきれないくらいキスをして、多くの奴らに見られているというのに他人のキスに驚くなんて。 きっとまだエロ話等にも弱いんだろうな。 そういう経験しまくってるのに…。 そう考えると学園の風紀は乱れつつ有るのか? 高位貴族の俺達が先頭を切って乱しまくってるな。 確か金髪野郎にも注意されたよな。 浮気野郎にんな事言われたくないが、今考えると正しいかもな。 今後も昼休みの中庭はピンクオーラ全開だな。 そう言えば金髪野郎、最近見なくなったな。 あいつ学園来てんのか?それとも病気か何かか? 全く情報がないのは存在感が薄いのか、俺があいつにこれっぽっちも興味がないからなのか。 王子って寮に住んでないよな? いたらさすがにすれ違うだろうし、王子がいたら警備とか相当だろうな。 って事は、あいつは王宮から通ってんのか…大変だな。 俺としては変な奴に絡まれなくて都合は良いけどな。 金髪野郎もアイツも今後近付いて来ないで頂きたい。 ん?フラグじゃねえよな? 下らないことを考えていれば、昼休みも終わり各々教室に戻っていく。 彼らの後ろ姿は手を繋いだり腰に手を回したりと、以前とは見違えるほど距離が近付いていた。 ここにいる全員が婚約者・恋人なのかはわからないが仲が良いのは良いことだ。 あいつの他にも別れさせ屋がいても、この関係を見せられて手を出してくることはないだろう。 別れさせ屋が存在しないことが一番なんだが。 エストレヤとは教室で別れる前に放課後ダンス練習に支障はないがグラキエスと話すことがあると告げた。 「なら先に行って待ってるね。」 「いや、エストレヤも来いよ。」 「えっでも…大事な話なんじゃ?」 「店についてだけど、エストレヤはいても構わない。」 「僕、行って良いのかな?」 「エストレヤの参加がだめなら俺も参加断るわ。」 「そんなっ。」 「良いんだよ、俺はエストレヤに隠し事はしたくねぇから。」 「…あの…本当に気にしないで。僕もお店出来るの楽しみにしてるから。」 「…わかった」 これ以上は言わないことにした。 午後の授業を受け、放課後になるとティエンダが教室に現れ迎えに来た。 各々カフェテリアに集まるようだった。

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