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第135話 恥ずかしいお説教 エストレヤ イグニス

お父様も公爵様に呼ばれ夕食を共にすることになった。 最近まともに眠っていなかったからか、お父様に会った事で安心してしまったのか僕は夕方まで起きることはなかった。 目覚めると夕食の準備が整ったと使用人の方に呼ばれた。 四人で食事をしてアティの顔を見てから客室で休んだ。 見張られているわけではないが、お父様に促されアティの部屋に泊まることは許可されなかった。 お風呂を借りてすることもなくなると、アティに会いたい病に掛かってしまった。 「ぁっ」 我慢できず扉を開け廊下に出ると、お父様が歩いてくるのが分かった。 「アティラン様の所へいくつもりか?」 「……はぃ」 「今日は部屋で休みなさい。アティラン様の所には今グラキエス公爵がいる。エストレヤがアティラン様を独り占めしてはいけない。」 「…はぃ。」 「少しいいか?」 「はぃ」 僕の行動を見透かされたお父様により、再び僕が借りている客室へと戻ってしまった。 二人でソファに座り無言が続く。 「エストレヤ、アティラン様はいずれ目覚める。」 「…はぃ」 「早く目覚めて欲しいのは分かるが、エストレヤも準備しなければならないことがある。」 「準備?」 なんの準備だろう? 「あぁ、アティラン様が目覚めた時に記憶があるかないかで色々変わってくる。以前の記憶を取り戻したアティラン様なのか、全ての記憶を失ったアティラン様なのか。そうなった場合アティラン様がどう決断するのか。公爵様も記憶を失ったからといって婚約解消は考えていないと。二人の気持ちを優先してくれると仰った。」 「ぅん」 良かった…僕は捨てられないって事だよね? 「またゼロから始めるのは辛いかもしれないが、今のような関係にだってなれる。それは努力次第だ、焦ってはいけない。アティラン様も回復するために今休んでいるんだ、エストレヤも確り体調を整えておきなさい。万が一記憶喪失でエストレヤを忘れても献身的に支えればいい。恋愛についてはお母様や公爵夫人に意見を求めなさい。」 「お父様は?」 「…私は…あの男次第だな。」 お父様はお父様だった。 変わってない…。 「僕の事応援してくれないの?」 「応援はしている…が…アティラン様は学園でも目立っていると聞いている。」 「ん?」 「中庭で人目を憚らずなんだって?」 「ぁっ…それは…」 どうしてそれをお父様が? 「全く、若いからといって限度というものがある。学園で閉ざされた空間でも噂は私にも聞こえるんだ。少しは落ち着きなさい。」 「…はぃ。」 お父様にそんなことを怒られるなんて恥ずかしい。 「部屋もアティラン様の所にいるとか?」 「…はぃ」 …そこまで知られて…。 「全く、結婚して寝室から出てこないなんて事にはなるなよ。彼は加減をしないように見える。エストレヤ、お前がちゃんと手綱を握らないと恥ずかしい思いをするのはお前だ。部屋にいる時には密室だからと言って過激なことをされているんじゃないのか?」 「………」 言葉が出てこなかった。 過激なこと…。 あの時の個別室は…誰かに見られたらって思うと…アティは見られても良かったような素振りだった…。 確かにお父様の言う通りアティは過激なのかもしれない。 「…はぁ全く、気を付けなさい。」 溜め息を着かれてしまった。 「はぃ。」 まさかの内容の説教だった。 「今は私が何かと言えるが、結婚してグラキエス家に入ったらエストレヤが拒否しなければあの男はお前を離さないぞ。」 「…ぅん」 「…今は喜ぶところではないんだぞ。」 「ぁっはい」 つい、僕を離してくれないアティを想像してしまった。 早くそんな日が来て欲しい。 「全く、それと服はサイズの合った物を着なさい。アティラン様には首や肩に痕を残すのを止めさせなさい。」 「ぇっ?あっ…はぃぃ」 そう言えば、僕はずっとアティの服をな着ていた。 学園でもずっとアティの服を借りていたし、誰にも指摘されなかったので気付かれないものと思っていた。 それにお父様達に会うなんて思ってなかったから、最後にした時もアティは沢山僕の首や肩、見えない所にも沢山キスされ噛まれたんだ。 恥ずかしくなり服を持ち上げ首を隠した。 「身体、大切にしなさい。」 「…はぃ」 話し合いが終わるとお父様は自身の客室に戻っていった。 僕は一人寂しくベッドで眠った。 一人でベッドで眠るなんていつぶりだろう? アティの居ない部屋で一人で眠ることが、こんなにも心細く淋しいものだったなんて知らなかった。 侯爵邸で上質な部屋のベッドなのに、なんだか寒くて僕は僕を抱きしめながら眠った。

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