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「おはようございます」  コウダが言う。ヒヤマはぼんやりとコウダを見た。二人はコウダの小さなベッドに寄り添うように眠っていた。さすがにずっとソファで眠るわけにもいかない。 「寝てました?」  コウダが尋ねる。 「寝てないよ」  ヒヤマが答えると、コウダは困ったように笑った。 「寝て欲しいです」  ヒヤマの前髪を触りながら言う。 「ヒヤマさんにも、眠って欲しい。ちゃんと」 「そう思ってくれるだけで嬉しいよ」  コウダは納得していない表情だった。その指が、前髪から額、鼻筋、そして唇へと動いた。ヒヤマはその指を優しく咥えて甘噛みする。 「ヒヤマさんって……、なんか……」 「?」  ヒヤマが唇を離すと、 「ううん。なんでもない。ご飯食べよ」  そう言ってコウダは起き上がった。コウダのそこはどうやら固くなっていて、ヒヤマは顔を赤くする。  起きて、二人で朝ごはんを食べる。テレビに視線を向けるコウダをじっと見つめる。昨日までと同じ作りの顔なのに、少し違って見えるのが新鮮だった。  視線に気づいたコウダも恥ずかしそうに笑った。  幸い、今日は互いに休みだった。 「ていうか、もうすぐクリスマスですね」 「ああ、そうだった」  テレビではクリスマスに向けてプレゼントの特集をしている。 「どこか、行きます?」  当然のようにそう訊かれて、ヒヤマはじんわりと感動する。嬉しさが顔に出そうで、噛み殺したら「なんですかその顔」と言われてしまった。 「いや、……嬉しくて」  仕方ないので素直にそう打ち明ける。コウダは笑う。 「かわいいですね」  結局クリスマスイブはイルミネーションを見に行った。想像の五倍くらいのあまりの混雑に二人で呆気に取られ、遠目に眺めてもういいかと家に帰った。家に帰ってきて、カーテンを開け夜景を見ながら二人で鍋を作ってつついた。もう逆にクリスマスっぽいことはしないでおこうということになったのだ。 「こういうのもいいですね」  アクを取りながらコウダは言う。 「鍋・クリスマス」 「何それ」 「メリー・クリスマスみたいな」  珍しくそんな冗談みたいなことを言ったなとヒヤマは思う。コウダも楽しいと思ってくれているのかもしれない。 「来年は逆にめっちゃクリスマスにしましょう」  コウダがそう言って、ヒヤマはそれがすごく嬉しい。 「そうだね。楽しみ」  年末は二人とも仕事もなく、家で特番を見た。ヒヤマはずっとテレビを見ていなかったので、知らない番組がだいぶ増えていた。コントを見ながらさほど表情を変えずに、「今のは面白いですね」と言っているコウダが面白かった。  年越しそばを二人で作って、年が明けてお雑煮をヒヤマが作った。ちゃんと作ったはずなのに思っていたより美味しい。原因がわからなかったが、コウダがちゃっと塩を足すと急に美味しくなって驚いた。  一月三日には遅めの初詣に二人で出かけ、おみくじを引いたら二人とも中吉だった。  正月休みが終わって仕事が始まって、いつものような日常に戻る。  ヒヤマは毎日家に帰るようになった。コウダは家で待っていた。二人でご飯を食べ、二人で一緒に風呂に入ったりテレビを見たりした。 「一緒に寝ましょう」  コウダがたびたびそう言ってヒヤマを誘った。本当は毎日一緒に眠りたかったけれど、引き受けるのは三回に一回くらいだった。コウダの眠りの邪魔をしたくなかったからだ。 「別に、俺は寝れますよ。ヒヤマさんの邪魔にならないなら、毎日だって」  コウダはそう言って少しむくれた。  ヒヤマが三回ぶりにベッドに入った日。コウダはヒヤマを抱きしめながら、そのあたたかい体温をヒヤマに分けていた。 「トモキ、あったかいよね」  ヒヤマはコウダのことを名前で呼ぶようになった。 「そうかな。なんでだろう」 「もしかしてそれも睡眠に関係が」 「あーダメです、今はそれはなしですよ」  ぐい、とヒヤマを抱き寄せる。コウダの胸板に包まれて、ヒヤマは幸せに窒息しそうだった。後頭部を撫でられながら、 「そういうことはあとで考えましょう。ね?」 「……うん」  ヒヤマはコウダの胸に手を当てて、そこの小さな突起に気がつく。それをなんとなく触っていると、 「ヒヤマさんって、やっぱすごいですよね」 「え?」 「それ、天然でしょ」 「え、あっ、あ! ごめん、ごめん」  ヒヤマは慌てて手を離した。 「ダメですよ、最後まで面倒見ないと」  コウダは意地悪く笑って、ヒヤマの手をまた胸に持っていく。

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