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幸い事故は大事に至らなかったらしい。
しかし、現場からの強い要請があって、コウダに検査を行うことになった。ライセンスの資格があるかの再検査だという。安全性に直結することなので、従わないわけにはいかない。
実際には、検査などする必要もなかった。既にデータはヒヤマの手元に揃っている。
彼は眠れないのだ。
検査に不合格になるのは間違いない。
だから、本当は検査なんてしたくなかった。それはきっと、彼には苦痛だろう。眠れないことを明らかにされたくないのだろう。
研究所にやってきたコウダは、見るからに憔悴していて――ヒヤマの隣に立つカンザキが身構えた。
ヒヤマが口を開く前にコウダは言った。
「検査、します。――眠れますよ、俺」
彼はそう言って、しっかりと笑った。笑って見せた。
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