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第4話 僕と彼の鑑賞会
「……あのさ、巳雷。いつになったら恋人をつくるわけ?」
巳雷が僕にゲイバレした日から、すでに三年が経過していた。
お互いに恋人ができない理由は、巳雷があまりにもずっと僕の傍にいるからだ、としか思えない。
初めて自分を受け入れてくれた友人という事実が、巳雷の中で大きく育ってしまったのだろう。
「ん? そんなにホイホイつくれるものじゃないんだよ。難しいんだよね、ゲイが恋人作るのって」
「巳雷がそんなこと言うから、ゲイバーだって、ゲイ用のマチアプだって、僕が調べてあげたのに!」
僕は怒る気持ちと嬉しい気持ち、双方を抱えたまま巳雷に愚痴る。
非常に複雑な心境だ。
何が悲しくて、好きな相手に出会いの情報提供をしなければならないのか。
「どっちもきちんと試したって。ただ、好みの奴がいないだけだし」
「だからって、あり余るその性欲を家に持ち込まないでよ!」
「ええー、家で発散するものだろ、普通」
その通りだ。
しかし、僕たちは同居しているのだ。
ゲイバレしてから、徐々に巳雷は性的なことにもオープンになっていった。
健全な性欲を抱える巳雷は、恋人とのセックスの代わりに、毎日のように自慰するようになった。
心を開いてくれたようで嬉しい一方、反応に困るのだ。
「本当は友達とAV鑑賞会で盛り上がるみたいに、ユタとゲイビ鑑賞会をしてみたかったんだ」
そう言われて、断りきれなかった僕も悪いのかもしれない。
純粋に、ゲイビがどんなものか見てみたかったという好奇心もあったし。
気付けば巳雷ひとりでこっそり行われていたであろうゲイビ鑑賞会は、僕まで参加するようになっていた。
「巳雷は突っ込みたいの? 突っ込まれたいの?」
男同士のセックスをノートパソコンの画面で見ながら、純粋な疑問として巳雷に尋ねる。
巳雷は嫌がる様子もなく、僕の質問へ普通に答えを返す。
「俺は突っ込みたいほうだね。タチっていうんだけど」
「それなら女性相手でもいい気がするんだけど……」
「それはさ、マユタン相手に突っ込みたいユタに、男の尻でもいいだろって言うようなもんだよ」
「なるほど……」
オープンすぎるやり取り。
お陰で今まで巳雷とはキスくらいしかイメージできなかったのに、やけにリアルに想像できるようになってしまった。
「ごめん、ちょっとシコっていい?」
「……どうぞ」
ゲイビを見ながら、横で巳雷がボロンとでっかいナニを取り出してシコりだす。
はぁ、はぁ、と興奮したような巳雷の荒い息遣いに、あまり性欲がないはずの僕まで反応してしまうのは、心底困る。
僕がもじもじしていることに気付いた巳雷は、ペロリと唇を舐めて僕を挑発した。
「ユタ、舐めてやろうか?」
巳雷が揶揄うから、僕の顔に熱が集まる。
「~~っ、いいよ、そんなことしないで――」
「目を瞑っていればいい。マユタンにフェラされてるところを想像しろよ」
「だから、いいってば……」
そんなことを経験してしまえば、もう元には戻れなくなる。
そう、思っていたのに。
「じゃあ、抜き合いしよう。それなら友達でも、普通にするだろ」
「……そうなの?」
好きな人からの誘惑に、僕は勝てなかった。
あとで後悔するって、わかっていたのに。
もっと苦しくなるって、知っていたのに。
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