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第5話 僕と彼の秘め事 **
「ふぁ♡ 気持ち、いい……」
腰から溶けてしまいそうな感覚を、僕は喜悦の涙を流しながら、ただ受け止めた。
ちゅこ♡ ちゅこ♡ と僕と巳雷のペニスを纏めて包む大きな掌は、的確に僕の射精感を高めていく。
「可愛い、ユタ」
「んん♡」
巳雷が顔を近づけ、僕の口に自分の舌を差し入れる。
そのまま舌の根元から深く吸われ、ぞくぞくとした快感が脳内に広がった。
お互いのペニスを扱くようになってから数日で、僕たちの関係はどこか歪なものになっていった。
僕は性欲が強いほうじゃなかったのに。
ただ純粋に、経験不足なだけだったということを知ってしまった。
さらなる快感を求めてへこへこと腰を振り、滑り込んできた巳雷の舌に自らのそれを絡ませる。
気づけば僕らは、抜き合いの最中にキスをするようになっていた。
どっちから求めたかなんて、覚えていない。
いやらしくて、淫らで、気持ち良くて、やめられない関係。
対象外の僕なんて、巳雷に恋人ができれば、すぐ捨てられてしまうのに。
「なあ、ユタ。一昨日、これ、買ってみた」
「それって、ディルド……?」
巳雷は突っ込まれるんじゃなくて、突っ込みたいほうなんじゃなかったっけ、と蕩ける脳内で懸命に考えながら、涙で滲む目で卑猥なそれを観察した。
ゲイビで散々見たそれが巳雷の手元にあるということがどうにも不思議で、現実じゃないみたいだ。
「そう、ディルド。これでユタのこと、もっと気持ち良くしたい」
嫌だ、と反射的に言おうとして、ゲイビのウケの顔を思い出した。
これを突っ込まれたウケは、とても気持ち良さそうに喘いでいたっけ。
……とはいえ、あれはしょせん、作り物。
「う~~~ん……」
「なあ、試してみよ? 俺がしたことで痛かったことなんて、なかっただろ?」
それは確かに、なかった。
乳首をいじられても気持ち良かったし、フェラされても気持ち良かった。
巳雷が僕にすることはただ気持ち良いだけで、思考回路が馬鹿になるだけだ。
まるで麻薬か酒のように、またシて欲しいって思うことばかり。
「ユタ、お願い」
「……ん、いいよ」
僕がこくりと頷くと、巳雷は「やった」と小さな声で喜ぶ。
巳雷が気持ち良くなるわけじゃないのに、何をそんなに喜んでいるのだろうか。
でも、巳雷が喜んでくれるならなんでもしてあげたい。
巳雷が恋人ができるまでの、期間限定なのだから。
僕はその日初めて、お尻を綺麗にして、お尻で気持ち良くなる、という体験をした。
そしてそれ以降僕らの秘め事には、僕のお尻を巳雷がディルドで弄りまくる、というオプションが追加されたのだった。
「ユタ、ユタ……」
「んん……」
「そろそろ起きろ、今日は実習なんだろ?」
「ん……ぁ、はぁう♡」
じゅぽッ♡ じゅぽッ♡
「な、なにして、あぁん♡」
ローションでヌルヌルの僕のお尻に、朝っぱらからディルドが出し入れされている。
「朝からユタのお尻にご奉仕したら、気持ち良く起きれるかと思って」
「ばか、も、朝からシて欲しくなるからぁ♡」
性欲魔人と化した巳雷は、ゲイビ鑑賞会をしていない日常にまで、とうとうエロいことを持ち込むようになった。
これは、非常にまずい事態である。
僕の乳首やお尻は巳雷によって確実に開発され、胸の大きな女性を目にしたとしても、ペニスが反応しなくなってきた。
むしろ、巳雷のペニスやディルドを見た時のほうが元気になってしまう。
いずれ僕は、ディルドだけでは物足りなくて、巳雷のペニスを欲しがる日がくるだろう。
「ユタの身体は喜んでるし。男同士なんだから、気楽に気持ちいいことしようぜ」
僕は対象外で、恋人にはなれないのに。
セフレでもいいから巳雷の傍にいたいと、懇願してしまいそうだ。
だから僕は、自分の心を守るために、巳雷に怒鳴った。
「巳雷はいい加減、恋人をつくれってば!」
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