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第14話
*真也視点での話です。
「お前、つまんない音だすね。」
はっきり言ってハルの第一印象は最悪だ。小学生にしては、ドラムの叩けた俺は、母のやってるライブハウスで色々なバンドと演奏させてもらってた。あの頃の俺は、大人に煽て自分は天才だと思っていた。そんな中、いつも俺を可愛がってくれたバンドの1人の息子として、連れてこられたのが、ハルだった。ハルの言い草にカットなって俺は言い返す。
「じゃあ、お前がやってみろよ!」
「いいよ。親父、ギターかして。」
ハルがギターを弾く。聞いたことない旋律がなって、俺はハルの音に引き込まれた。ハルが自分で作った旋律らしい。まだ拙くて決して上手いとは言えない。けどハルの鳴らす音は、周りを巻き込む力を持っていて、周りにいた大人たちが自然と演奏していた。こんなこと、俺の演奏の時には、起きたことがない。俺はハルが天才であると気づいて、始めて同い年に負けたくないと思った。
「どうだよ。下手くそ!俺の演奏は?」
ハルは自信満々に俺を見てきた。ただ、俺はプライドを傷つくられて、黙っている訳にはいかない。
「技術はつたないし、所々が雑だよ。そんな演奏聞けたもんじゃない。」
それから俺はさらに音楽にのめり込んだ。ハルに負けたくない、あいつに勝ちたい。そんな思いで、必死にドラムを叩く。いつしか、ハルが俺の音楽のモチベーションになっていた。そんな日々が続くと思っていた。母は女手一つで俺を育てていて、生活は苦しかった。そして普段からの無理が祟ったのか、母は死んでしまった。ライブハウスは別の人が引き継いだ。俺は親戚の家にお世話になることになった。俺を可愛がってくれてたハルの父がたまにバンド練習に俺を誘ってくれた。俺はこの人に救われたと思う。ハルもいつもいて、いつしかハルと一緒に演奏するようになってきた。ハルといるのは心地よかった。親戚や、学校の友達、ハルの父は俺を母を亡くした可哀想な子として扱ってきた。でも、ハルだけは俺を音楽のライバルとして見て、対等に扱ってくれたのだ。
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