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第2話 モテ道を突っ走れ

若くして死んだ俺を不憫に思ったのか、神様が転生させてくれた、この世界。 この世界は男女という性別ではなく、α、β、Ωという三つの性別が存在する世界だ。 見た目は完全に、男のみの世界である。 この世界では、精液をお尻から摂取することでその精液に適した子宮を育て、子を孕む。 その能力に優れているのがΩで、人口の十分の一くらいの比率で存在し、逆に子を孕ませることはほぼできない。 子を孕ませる能力に長けているのがαで、Ωと同じくらいの比率で存在し、子を孕むことはほぼない。 人口比率としてはβが一番多く、子を孕ませることも孕むこともできるが、種が着床する確率がαやΩに比べるとだいぶ低い。 だからこの世界では重婚が認められており、αとΩでの夫婦はもちろんのこと、Ωは他にたくさんのβを囲うし、同じくαも他にたくさんのβを囲う。 子を孕むことが可能な時期のΩはとても良い香りがするが、βはその香りを感じず、αだけがその香りを感じることができ、その香りはαを発情させることが可能だ。 そしてバリタチの俺は当然、αとして生まれてきた。 前世とは違い、男を孕ませる能力があるということだ。 そして出来の良いαは、Ωにもβにもモテるのだ。 まさに俺のための世界だ、ヒャッホイ! 俺はめちゃくちゃこの転生を歓迎した。 上流貴族に生まれ、体格と運動神経に恵まれていた俺は、十歳で王都騎士錬成所という騎士を育成する訓練校に入学した。 家督を継ぐαの兄がいたから家にいる必要もないし、なにより騎士が一番、モテるからだ。 そしてモテ道……もとい騎士道を極めようとするのはαかβで、俺の好みの奴は周りにいなかった。 「Ωちゃんがいない生活なんて、耐えられん……!」 「またアランが何か言ってる」 「そんな精神じゃ、騎士道なんて到底習得できないぞ」 「うるさい、お前たちだってどうせモテ目的な癖に……!」 会話はほぼ、前世での男子校にいるノンケの台詞と同じだ。 やれどこのΩちゃんが可愛いだの、どこのβがΩに引けを取らないだの、α同士で馬鹿を言い合う、そんなノリ。 俺は将来のモテのために騎士道に励み、成績上位者として王都騎士錬成所を卒業した。 そして騎士の中でも出世株が採用される王城守護騎士団に入り、一週間。 俺たち新人はとにかく、城内外の構造を叩き込むことが最重要だ。 城門、裏門、非常口の位置を暗記して、見張り塔、武器庫、詰所、避難経路を把握する。 単純作業のように思えて、木や家具の配置や人の出入りなどまで覚えようとすると、これがなかなか一度や二度では難しい。 それに昔、新人が城内で迷子になったことがあったらしいのだが、それも頷ける広さだ。 俺は夜勤の自由時間を使い、足りない頭を、足を使って補おうとしていた。 そしてある部屋の前を通った時、微かに刃鳴りを聞いた気がしたので、念のため中を覗いてみた。 すると、誰かが襲われている最中だったのだ。 俺は直感で、五人の相手をしていた、ひとりの男の加勢に入った。 だって深夜に真っ黒な服を着た五人組なんて、怪しすぎるだろ。 俺たちは背中を合わせてなんとか二人で五人を倒し、結果的にやはりその五人は暗殺者だった。 「ご無事でなによりです」 着ている物から、襲われていた人物が王族だということは察しがついたので、俺は不敬にならないよう跪いて挨拶だけ交わし、さっさと現場を駆け付けて来た上官に明け渡した。 そして次の日俺は、俺が助けたという第一王子であるレイガー殿下の護衛騎士に任命されたのだ。 それは破格の、昇進だった。

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