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第7話

アレンは子供のため、俺たちの屋敷で一緒に住むことになった。でも、アレンは以前の明るいアレンとは、異なりずっと黙っているようになってしまった。 「たった1人の肉親を失ったのだ。無理はない。俺達の ことは、家族だと思って頼ってほしい。」 「そうよ。アレン、これからは私達が側にいるからね。」 父と母が心配する言葉をかけても、アレンは無反応に頷くだけだった。父の言いつけで俺とアレンは一緒の部屋で眠る。アレンは人の足跡がするだけでも、怯えるので俺が扉側を使っていた。熊に襲われるなんてどんなに恐ろしい経験なのだろう。俺はターシャがしてけれたみたいにアレン抱きしめて眠った。 ある日、アレンが今にも泣き出しそうな声で俺に相談してきた。 「ロキ、匂いがしなくなっちゃった。どうしたらいいのな?」 見ると、アレンの手にはボロボロの金木犀の匂い袋が握られている。荷物をほぼ持っていなかったターシャの唯一の形見だ。俺はどうにかして、アレンを元気づけたくて村で一番、切れ者のテオに相談に行った。すると、王国に付近の森に金木犀が生えていることを教えてくれた。そこら辺は、危ないから近づくなと大人達に言われている場所だ。でも、村の子供の中でも強い俺とアレンなら何があっても大丈夫だろう。俺はアレンと2人で金木犀をとりに行くことに決めたのだ。大人達にバレないよう、父が狩に出かける日に行くことにした。 教えられた場所に近づくにつれ、森は異様さを増した。村の付近の森は色々な木が生えているのに、さっきから真っ直ぐな木ばかりを見る。それに、道も平らで、整えられている。俺はこの光景に、怯えていたが、アレンは臆することなく進んでいく。きっと、速く金木犀を見つけたいのだろう。いつもは引っ張っているアレンに負けられないと俺は足を速めた。 「「あった!!」」 アレンと俺は顔を見合わせる。そこにはあの甘い匂いを漂わせた黄色小さな花の木が生えていた。アレンはいそいそとかけ寄り、金木犀を匂い袋に入れる。 すると、突然、変な言葉を話す大人たちがアレンを連れていこうとする。俺は助けて出そうと走ったが、別の大人に抑えつけられた。 「クソ、離せよ!」 大きな大人の体は、いくら俺がみじろいでもびくともしなかった。 「助けて、ロキ!!」 そうしている間にも、どんどんアレンは連れて行かれる。俺は力いっぱい、覆い被さる大人の溝尾に肘をぶつけた。 「ぐふ、、、」 大人が痛みによろけて力が弱まる。今のうちだと思い、また走り出すと、 ドン! 俺はさっき溝尾を殴った大人に溝尾を蹴りあげられた。あまりの痛みに動けなくなり、口からは吐瀉物がでた。そして、意識が遠のいていった。 目を覚ますと、家の天井があった。蹴られ溝尾がズキズキと痛む。狩をしていた父達に見つけられ、助けられたらしい。父と母が心配そうに俺のことを覗き込んでいた。 「お父様、アレンは?どこにいるの?」 自分の怪我よりも、アレンが心配で必死になって父に尋ねる。 「私がお前を見つけたときは、アレンはもういなかった。助けられなかった、すまない。ロキ。」 父が深々と頭を下げて俺に謝る。父は悪くない。大人に行くなと言われていた森にアレンを連れて行った俺が悪いんだ。自分が強いって勘違いしてたんだ。父は涙ぐむ俺の頭を撫でてくれて、俺はさらに泣いてしまった。でも、父は泣くななんて怒らなかった。俺は親友を自分が弱くて失ってしまった。だからもう、誰も大切な人を失わないように、強くなろうと心に誓った。

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