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第13話
グリシャ視点です。
俺の一番、古い記憶は、寒い森の中をかける母の息遣いだ。母は家の身分は低かったが、美しく教養があったため、王様から寵愛をうけた。身分の低い女が王からの愛を受けるのをよく思う者はいない。王宮は母の敵だらけだった。毎日、嫌がらせを受けても、母は気丈に振る舞う。しかし、王の過ぎた寵愛の末に、男の俺を妊娠した。正妻は、王が母を愛しているため俺を跡取りにすることを恐れたのだろう。まだ、幼い俺の食事に毒を入れさせた。俺は死にかけたが、幸い命は助かった。このままでは、俺を殺されると思い、母は、俺を守るために王宮から逃げ出すことを決意した。ただ逃げるのでは、すぐに見つかってしまうため、母は北の森の民のとこへ逃げ込むことにした。北の森の民は狩猟で生活して、動物を殺すこと遊びとする蛮族と聞かされていた母にとって苦肉の決断だろう。それでも、母は必死に北の森の民の言葉を学び、喋れるようにまでした。そして、冬の夜に王宮から逃げ出した。母にとって誤算だったのは、冬の森の凍てつくような寒さだった。身分は低いと言えども、貴族の子として育った母はそんなこと知らなかった。だから、俺たちは薄着で凍えながら王国の兵士から逃げ回った。寒さでうまく動かない手足で、俺を抱えて走る母は、何度も木の根や石を踏む。その度に足に痛みが走るが、そんなことは止まる理由にならない。なんとか、追ってを振り切ったが、母の体力は限界を迎えて雪に倒れ込み動かなくなる。降り積もる雪が母と俺の体温を徐々に奪っていった。
目を覚ますと、見知らぬ天井があった。どうやら、北の森の民に助けられたらしい。蛮族と聞かされていた彼らがずっと友好的で優しいのに母は、驚いた。そして、差し出されなホットミルクの温かさに救われた。優しい北の森の民の村長は、俺と母を村に匿ってくれると言ってくれ、母はもう大丈夫だと安心した。これが、さらなる地獄の入り口なんことは、知らずに。
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