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第14話
美しく聡明な母はすぐに村中の男を虜にしていった。男達の母をみる気持ち悪い視線を俺は子供ながらに警戒して、母の周り付き纏う。母は俺を守れたことに安心したのか、どこか警戒心がたりない。
「母さん、僕の側から離れないで!この村の男は母さんのことを変な目でみてるよ!!」
俺は母に必死で訴えかけるが、聞いてもらえない。
「そんなこと、言っちゃダメよ、アレン!助けてくれた人たちにそんなことをアレンが言うのは、母さん、悲しいわ。」
と、母に叱られて俺は何も言えなくなってしまった。俺が母さんを守れるようにならなくては。
「今日もママにべったりですか。」
「まだ、ママにおっぱい貰ってるじゃないの?」
俺のことをよく思わない村の子供達が俺を揶揄う。ここも王宮と同じだ。俺の味方は母しかいなのだ。俺は怒って子供達に襲いかかるが、俺の細い腕で殴られたって奴らはビクともしない。逆にやり返されて、馬乗りなられ、殴られる。こんな奴に負けてるようじゃ母を守るなんて無理だ。痛みに耐えていると、
「おい!何をしてるんだ、やめろお前ら!!」
村長の子供、ロキが割り込んでくる。こいつは、村の子供の中で一番強いらしく、村の子供達はたじろぐ。
「こんなことして、恥ずかしくないのか。北の森の民としての誇りを持て」
最もらしい、説法をロキはとく。多分だが、父の受け売りだろう。俺には父というものが、どういものなのか、わからないが、ロキの父は尊敬できるいい父なんだろう。こいつは強くて、優しい両親、村の子供からの信頼、全て持っている。こいつ、みたいになれたなら、俺は母を守れるのか。
「大丈夫か。ほら、捕まれ。」
「ありがとう、ロキ。」
痛みに疼くまる俺に手を差し出して、ロキはいとも簡単に俺を引き上げる。そして、村の医者まで連れっていってくれた。俺にとって、死にもしないこんな傷はどうでもよかったけど、ロキが心配そうに見つめるから大人しく手当てを受けてやった。その後、ロキは鍛錬に向かうらしい。こいつみたいに強くなったら、俺は母を守れるかもしれない。そんな考えが浮かび、俺はロキに一緒に鍛錬してくれないかと提案する。
「あいつらに負けたくない。俺もお前みたいに強くなりたい。俺を鍛えてくれ。」
俺の発言にロキは嬉しそうに、笑いこう答えた。
「いいよ。ただし、厳しいからね。」
言葉通り、ロキの鍛錬はすごかった。森の中の殆ど道とも呼べない場所を走り回る。俺は何度もロキを見失いそうになりながら、必死についていく。そして次は、剣の手合わせだ。力の弱い俺は、ロキの一撃で簡単に吹っ飛ぶ。俺の体には、揶揄われてできた傷よりもロキにつけられた傷のほうが多くなっていった。あんなに心配そうに見てきた癖に、なんなんだこいつは。半年もすると、俺の肺や足は森に適応し、俺はどう走ればいいか反射でわかるようになっていき、楽々とロキについて行けるようになった。それに、剣の手合わせでは、ロキの大振りな一撃をいなすコツを覚えて、勝てるようになってきた。
「これを飲むと、強くなるぞ!」
と、ロキに勧められて鍛錬後に飲むホットミルクが俺の好物になった。
初めは、母を守るためにはじめた鍛錬が今では、ロキと過ごす大切な時間となっていた。
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