18 / 25

第18話

王宮に帰ってきた俺に向けられたのは正妻とその子供により嫌がらせと、殺意の孕んだ目線だけだった。俺の味方は1人もいなくなってしまった。俺の部屋の前に糞尿が巻かれていたり、服が水びたしにしなっていたりした。従者が俺にもってくる食事や飲み物は、全てに毒が入れられている。だから、俺は厨房から食糧をくすねて食べていた。そんな日々の中で母がこんな嫌がらせを受け、毒に晒された孤独な状況の中で俺を守ってくれていたのだと知った。この環境が母をあの吐き気がする村へ追い込み、母を死なせたのだ。王国もあの村も全て壊してやる。母を殺したこの世界に復讐してやる。母以上の苦しみを味合わせてやる。 俺は王に取り入るため、金木犀の香りを纏い、王の寝室へ向かう。 「お父様、一緒に寝てほいの。」 俺はわざと甘えた声を出して、王を誘惑する。俺に気持ち悪い視線を向ける奴は、のってくるだろう。 「ああ、グリシャ。こっちにおいで。」 王は瞳の奥に欲望を宿した微笑みで俺を手招く。もう一押しだ。俺は王に抱きつき、纏った金木犀の香りを吸わせる。母を思い出すだろう。何年も母に執着して、探す男だ。母にそっくりな見た目で、母の匂いを纏った俺を前に我慢できる筈がない。王は俺を押し倒して組み敷く。王の毛むくじゃらな指が俺の肌を伝い、生臭い口で俺に口付ける。母もこんな感触だったんだろうか。嫌に冷静な頭で、そんなことを考えていた。 「ターシャ、、、。うう。」 自分よりも2回りも小さい子供を抱きながら、死んだ女の名前を呼ぶ様は、とても滑稽だ。俺が手を差し伸べて、 「王様。」 と感情のない声をで呼ぶと、この男はさらに、喜んだ。気持ち悪い。 何度も、こんな夜を重ねる内に王は俺に依存するようになった。俺は王にいい、俺の周りの従者は全て正妻と全く関係がないものにさせた。そして、俺は村と王国を破滅させるために、王に囁く。 「北の森の民が、母を殺したのです。王様、どうか母の仇を取ってください。」 俺は王の手を握り、指を絡める。

ともだちにシェアしよう!