19 / 25
第19話
手始めに、ロキたちの住んでいた村に似ていた村を侵略する。子供の頃、あんなに恐ろしかった人々に似た奴らは、王国の兵力と技術を前に死んでいく。王国の奴らは自分たちと違い、狩猟で生活する彼らを野蛮人だと見下しているから、女も子供も容赦なく殺した。その光景を見ても、俺の心は微塵も傷まないことに気づいて、自分が優しい母とはかけ離れた存在に近づきつつあることを知った。それもそうか、母との思い出の香りを纏い体を汚し続ける俺が母と似るわけがない。母を殺した世界への復讐心だけが俺を生かし続ける。
あの忌まわし村に、侵略するため兵士を従えていく。村の連中がピリつくのが、肌に伝わる。俺と母を苦しめていた奴らが、俺に恐怖を向けるのは気分がいい。ただ、俺はロキにだけは、汚れて変わった俺をみてほしくなくて、仮面をつけて向かった。通訳としてわざわざ名乗ったのは、この村の連中に誰に村が侵略されたか、思い知らせるためだった。俺はロキの父が出てくるのを今か今かと待ち構える。しかし、最悪なことに俺を出迎えたのは、ロキだった。あの俺をみつめて、導いたアーモンド色の瞳は今、俺への怒りを宿している。嘘をつくのが苦手なのに、必至で感情を抑え続けて、俺達を刺激しないようにするロキの姿に俺の決意は揺らいだ。子供の頃のロキとの楽しい思い出が脳をめぐる。結局、俺はロキのバレバレな嘘を信じた振りを帰って行った。ロキは俺の光であると同時に、俺の枷でもあった。
ともだちにシェアしよう!

