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第23話

俺を警戒している風を装うロキ。そんなこと、しなくてもすぐに俺を警戒するようになるから大丈夫だよ。テオがロキの父親の死について、嗅ぎ回っている。テオは人の死さえも嬉々として自分の遊びみたいに扱う奴だ、ロキの気持ちなんて考えずに自分の成果を嬉しそうに伝えるだろう。父は病死だと思っていた方が、ロキは幸せなのに。 「グリシャさん、今日の夜、2人きりで呑みませんか。あなたと最後にお話ししたい。」 ロキは緊張と疑念の眼差しを俺に向ける。やっぱり、テオが伝えたのだろう。これからロキを壊すことを考えると、胸が躍った。 「失礼します。グリシャです。」 俺は仮面をつけずに、会いにいく。親友のアレンが父を殺したことをロキにわからせるため。綺麗なロキの中の、優しくて偉大な両親の姿を打ち砕くため。俺がいくと、ロキは神妙な顔をして座っていた。 「グリシャ、お前なのか、父を殺したのは?」 ロキは、ロキの父親の面影を感じる物言いで俺に問う。でも、その瞳は違うって言ってくれという願いが透けてみえる。まだ、俺を信用してるロキが可笑しくてしかたない。 「あーあ、バレちゃった。やっぱり、テオは殺すべきだったな。」 俺はロキを絶望へと導くため、今までロキに見せたことのない冷酷な態度をとる。その途端、ロキの顔は歪む。俺の光が壊れていく。 「どうして、父を殺したんだ?父はお前たち、2人の親子を受け入れて助け、母を失ったお前を家族として住まわせていただろ?」 俺がお前の両親に感謝したことなんてないよ。本当に何も知らなくてどこまでも真っ直ぐな目が俺を傷つける。お前だけ、綺麗なままでなんていさせない。 「なんでかって?お前の尊敬する父は俺の母を慰みものにしてたからだよ!俺達の家が村人達から離れたとこにあったのは母の叫聲が聞こえないようにするためだよ。」 「あとさ、俺の母を殺したのは熊なんかじゃないよ?お前の母親だよ。自分の夫が他の女にお熱なのに嫉妬して俺の母を滅多刺しにしたのさ。それを知ったお前の父は、熊に殺されたことにして隠したんだよ。」 俺はロキに事実を伝える。ロキは必死に否定しようとしているけど、何も言えない。お前の親は人間の皮を被った化物だったんだよ。

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