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第25話
ロキは俺が酷く抱いたから痛むだろう体を隠して、俺を見送った。どんなに、苦しくても村長の仕事を全うしようとする様は、流行病を抱えながら俺の前にたったあの男に重なってみえた。俺が壊しても、ロキはこの村に縛られ続けるのだろう。事実を知ったロキにとって、これより残酷なことがあるか。俺は少しでも、ロキに俺を覚えていてほしくて、手袋をせずに、握手を求めた。
「ロキさん、あなたのような素晴らしい方に出会えてよかった。握手をしましょう。」
俺の手のひらの中で、ロキの指がかすかに震える。
「こちらこそです。王国にどうぞよろしくお願いします。お気をつけて。」
俺たちは、他人行儀に別れを告げた。もう会う事はないだろ。俺の頭には、俺の壊した光の残像がこべりついていた。
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