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第27話
部屋に入るとむせかえる程の金木犀の香りが漂う。その香りはグリシャに抱かれた次の日の朝をを俺に思い出させて身が強張る。暗闇のなかを恐る恐る進む。そして、目が闇に慣れてきた頃、部屋の寝台の中に2つの影をみつけた。
「グリシャ、お前は本当にターシャに似て美しい。もっと私を抱きしめておくれ。」
大きな影が小さい影に生臭い息吹きかけながら覆い被さっている。小さな影は、大きな影を抱き寄せる。その光景に俺は動けなくなってしまった。俺がそうしている間にも、水音や、息遣いが次第に大きくなっていく。俺は耳を塞いで蹲るしかなかった。やがて何も音がしなくなると、小さな影はこちらに向かってきた。スタスタと軽い足取りだ。
「グリシャ、、、、。」
俺は強い金木犀の香りを纏ったグリシャを見上げる。
「お前、どうしてここに。」
グリシャの細腕が俺の逞しく腕を乱暴に引き上げる。そして、そのまま俺を引っ張って廊下を進む。グリシャは、俺の前にいて表情がよく見えなかったが、さっきとても青い表情をしていのが気になる。俺を掴むグリシャの手は冷たくて、俺に触れた熱い指とは違っていて、俺はどうにかして温めてやりたたい。このまま、どこに向かうのだろうか。王宮の間取りが全くわからない俺はグリシャについて行くしかない。
ドン!
俺の背中に痛みがはしる。グリシャは、俺を風呂場の床に投げ捨てた。無機質な石の冷たさを感じる。
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