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第30話

村を捨て村を侵略しよとした王国の友に会いに行った俺を誰も村長とは、認めてくれないだろう。村に帰ったら、どんな罰も受け入れよう。俺は村人から嫌悪や失望の視線を浴びる覚悟を決めて村の門をくぐる。しかし、俺を待ち受けていたのは、いつもと変わらない村人達だった。 「ロキ、おかえり!王国への偵察、お疲れ様!」 「1人で向かうなんて、勇敢だな。心配したんだぞ!」 村人は口々に俺への労いの言葉をいう。どうしてなのかわからず、周りを見渡すとアリと目が会う。アリは俺に、話を合わせろというサインを送ってきた。俺が村を去ったとき後、アリは俺が王国の偵察に向かったということにしてくれたらしい。彼女が俺の村長としての立場を守ってくれたのだ。俺は彼女にありがとうとサインを送る。するとアリは優しく微笑んでくれた。 「皆、出迎えありがとう!長い間、村を空けてしまってすまない。」 その後は、俺の帰りを祝う宴会が行われた。俺は久しぶりのきちんとした食べ物を腹に詰め込む。食べ慣れた味が俺を村に戻ってきたと実感させる。俺は酒を飲みながら、俺を案内してくれた親切な老学者の人について話す。王国には、彼のような人もいると皆に知ってもらいたかったからだ。グリシャ達親子に村人が残酷なことをできたのは、王国の人間を差別していたからだ。俺達は王国の人間が自分達を蛮族として見下していることに怒っていた。けれども、王国の人間を理解できないとずっと遠ざけてきた。この考え方を変えることができなければ、また同じような悲劇が起きる。俺達は、王国に歩みよる努力をすべきなのだ。父の代よりも前からずっと続く王国との確執を取り除くことは、難しい。けれど、俺は少しでも王国に歩みよるための努力をしようと心に誓った。

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