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第34話
長い夜が明けた。
男の額にはうっすらと汗が浮かんでいるが、熱は昨日よりも下がっている。
それに呼吸も穏やかだ。
俺達に安堵とともに眠気がやってくる。
疲れた、このままここで眠ってしまおう。
俺は意識を手離した。
目を覚ますと布団は空だ。
男はあんなに酷い怪我だったのにどこかへ行ってしまったらしい。
「あんな怪我で動いたら、危険だ。」
俺達は、外へと飛びだす。
3人で手分けして探す。
あの怪我だ。
そう遠くへはいけないだろう。
俺が村の裏口に向かうと男は塀を乗り越えようとしていた。
「待ってください!そんな怪我で動くのは危険だ。速く降りてきてください!!」
俺は男に呼びかける。
しかし男は無視して進もうとする。
仕方がないか。
俺はもっていた弓矢を放ち、男の服を射った。
服が塀に固定され男は宙ぶらりんになる。
「矢をとってくれ!私は主人を助けに向かわなければいけないんだ!!」
男はそう言ってジタバタと動く。
まだ諦めていないみたいだ。
傷が開いて血が包帯に滲む。
そんな男に近づいて、羽交締めにして動けなくする。
あまり手荒なことはしたくなかったが、これ以上動かれると傷に触る。
「その状態のあなたが言っても死んでしまう。俺が力を貸すから、待ってくれ。」
「待ってなど、いられるものか。私がこうしている間にもグリシャ様は牢に囚われ、処刑を待っているんだぞ!」
男の口からグリシャの名前がでた。
どうして、グリシャが処刑されそうになっているんだ。
だってグリシャは王のお気に入りだったはず。
男の発言に俺は目の前が真っ暗になった。
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