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第36話
カツーン、カツーン
処刑台まで続く道に燐とした足音だけが響く。
グリシャは何を考えているかわからない横顔で前だけを見つめて歩いていた。
その顔が誰にも弱みは見せまいとしているように見えて俺には痛々しく映る。
直ぐにでも助けに飛び出したいのをグッと堪える。
周りには仲間達が数人ひかえ同じように息を潜めてタイミングを伺っている。
グリシャの足が処刑台の階段へ掛かった瞬間、俺達は走り出す。
このタイミングがグリシャから兵士が離れる唯一の瞬間だ。
異変に気づいた兵士が剣を振り上げるがそれをいなしていく。
そして群衆を掻き分け俺達の中では小柄なテオがグリシャを連れ出した。
そんなテオを援護するために俺達は足止めをする。
ただし殺しはしないようにしていた。
もし俺達の正体がバレてしまった時に王国と衝突するのを避けるためだ。
テオの助言により俺達の顔は布で覆われており、わからない。
視界が悪いなか殺さぬように相手にするのは中々に骨が折れた。
他の仲間も苦戦しているようで、1人の兵士を取り逃す。
その兵士はグリシャ達に向かって切り掛かる。
まずい、ここでは遠すぎて間に合わない。
ザクリ
血が宙を舞う。
みるとテオがグリシャを庇っていた。
あの出血量はもう助からないことがわかってしまう。
それでも助けたくて体はそちらを向く。
俺達は動揺してそっちに向かおうとした。
「俺に構うな!まだ、足止めしろ。俺は走れる!」
テオはあんな傷を受けても声をあげていた。
そして、グリシャを引っ張り走り抜けていく。
その速さはさっきよりも速くて最後の力で走っているのだろう。
その声と光景に俺達は目の前の敵に集中し直す。
少しでも長く敵をとどめてテオの努力を無駄にしないようにと短剣を振るう。
とても長く感じらる時間が過ぎていく。
と、男から撤退の合図がでる。
もう俺達の庭である森までテオ達は逃げ仰たのだろう。
俺達は素早く場所を離れる
群衆が多いからすぐに紛れ込むことができた。
人と人をかき分けて王国の出口へとでて森へと向かう。
心のなかでは、どうかテオが生きているようにと皆願っていた。
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