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第37話

酷い血の匂いが鼻につく。 俺を連れ出した顔を布で覆われた男は息も絶え絶え俺を導く。 足取りに迷いがないことをみると森を熟知しているのだろう。 もうあそこで死ぬと思っていた俺は訳もわからず男についていった。 次第に男の足は鈍くなり、足がふらつく。 限界のようだった。 それでも男は俺を大きな木のうろに隠れるようにうながす。 従って俺は男と共にうろへと入った。 空気の通りが悪いそこはさらに血の匂いが強まり、男は死んでしまうことを示している。 そんなことはわかっていても俺は男の止血を試みようと服を脱いで傷口当てようと近づいた。 けれど男は静止して顔を覆っていた布をとる。 そこに現れたのはテオの顔だった。 あの日から何度憎んだかわからない男が俺を身を挺して庇ったのか。 驚きと憎しみで口が動かない。 と、テオは話し出す。 「アレン、俺はずっとお前に嫉妬していたんだ。ロキも取られてお前は2つの言葉も話す。俺の居場所が奪われたと思って、お前の母親の遺体に酷いことをした。すまない。こんなことが罪滅ぼしになるなんて思ってないけど、お前を助けられてよかった。」 傷は肺にまで達していて話すたびに空気の抜けるような音がして顔が歪む。 きっと想像絶する痛みがテオを襲っているに違いない。 うろの中は死の匂いで満ちていて、母が死んだ日のことを思い出させる。 そして、俺は憎しみからテオの嫉妬なんて全く見えていなかったことを悔やんだ。 もし俺がそのことに気づいていればもう1人の友になれたかもしれなかった。 その可能性を幼い俺は捨ててしまったんだ。 そんな後悔を胸に俺はテオの冷たくなっていく手を握り語りかける。 「お前のやったことは許せない。けど、俺とお前のことをわかっていなかった。すまない。助けてくれてありがとう。」 俺がそう言うとテオは微笑んで目から光がなくなる。 どろりと濁った目をしていて、瞳孔が開いている。 もう死んでしまったのだろう。 そのままにするのは良くないと思い、俺はテオの瞳を閉じる。 握った手は重量に従い下に向かっておちっていった。

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