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第40話
村は静寂に包まれた。
テオの母親も力尽きたらしく外からは森の木々がざわめく音だけが聞こえる。
そんな状況が余計に俺の背後を意識させた。
あんな様子のテオの母は何をするかわからないし、グリシャは村の連中から嫌われている王国の人間だとわかる。
だから、安全のために俺の家で寝てもらうことになった。
俺の耳は僅かな布が擦れる音さえ拾う。
俺はあまり意識しないように布団に潜り込む。
月明かりも絶たれて闇が広がった。
そのせいでテオの死んだ姿やテオの母親の顔が頭に浮かぶ。
俺のせいで幸せだったはずの2人を巻き込んだ。
確かにテオはグリシャに酷いことをしたのを償いたいとは言っていた。
でも悪いのはテオだけじゃなくて俺の両親と俺だ。
俺が動く度に死人がでる。
俺は二度もグリシャのために行動してアリやテオに助けられた。
自己嫌悪から手足が冷たくなっていく。
布団を頭から被っているはずなのに一向に体は温まらない。
身を縮こませ眠気を待っていた。
「ロキ、大丈夫か。」
ずっと喋らなかったグリシャが俺に声をかける。
暗闇の中で顔は見えないが優しい声色をしていた。
ただ2人の間には触れそうで触れない隙間が開けられている。
グリシャの指先は迷うような動きをして止めらた。
あの日、わかりあった筈の俺達はテオの死への罪悪感からもう触れ合えないのだろうか。
「ああ、大丈夫だ。」
俺もグリシャに近づくことはできなくて、お互い背中を向けて眠る。
テオが死んだばかりなのにグリシャを意識してしまっている自分に反吐がでる。
時折、視線を感じたが俺達の目線が交わることはなかった。
王国と村よりも短い距離が途方もなく長く感じる。
あんなに求めた骨ばった手を俺は盗み見ることしかできない。
それでもグリシャが生きているだけでよかったと我儘な俺に言い聞かせた。
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