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【第一部】7
明日は大会だった。前日なので部活もオフだ。こういう日は、変に何かをするもんじゃない。普段通りに過ごすことが一番大事だ。だから風呂もいつも通り、ご飯もいつも通り、変なことは何もしないように気をつけた。
しかし、さすがに落ち着かない。
眠れないほどではないけれど、少し緊張している自分がいた。
佐藤に電話でもしようか。そう思って、でもあいつも当然今頃集中しているはずで、変に気を使わせたくない。
じゃあ。
俺の頭になぜか三ツ谷が浮かんだ。なんで三ツ谷だよ。自分でそう思って不思議だった。
あいつは関係ないだろ、と思って、関係なくなかったことを思い出す。あいつは俺たちを密着取材していた。
そういえば、あいつは明日は来るんだろうか。部長は何も言っていなかった。だけど密着取材だったはずだし、さすがに来るだろう。でも追い出してしまったし、もしかすると明日はあの(最初しか顔出ししていない)部長が来るのかもしれない。そうしたら、追い出したのはまずかっただろうか。
良くない方向に思考が向かっているのが自覚できた。
これを解決する手っ取り早い方法。
――確認してみるか。
うだうだ悩むのは性に合わないからとスマホを手に取って、ぱぱぱっと三ツ谷に電話をかけた。
三コール目で急に冷静になった。
なんで俺あいつに電話してんだよ。何やってんだ、俺は。やっぱりなんだかんだ普通じゃないのかもしれない――気がついてよかった。電話を切ってそう思うと、ブーッと電話が震えた。三ツ谷が折り返してきたのかと思ったら佐藤からの電話だった。
「もしもし」
「あ、誉かー。なんかさ、緊張しちゃってさー」
電話でもしよ。
佐藤が呑気な声で言う。
俺はだいぶ安心して、それから少し佐藤と話して、ちゃんと寝た。
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