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【第二部】6

 ――お前どうしたんだよ  放課後、佐藤からメッセージが届いた。俺はそのまま家に帰って布団に倒れ込んで枕に向かって叫んで、行き場のない感情を無理やりに発散したところだった。もちろん部活もサボったので、佐藤が心配するのも無理はない。  ――別に体調悪くないんだろ?  ベッドに寝転んでスマホを見る。どうだろうか、ある意味悪いのかもしれない。  ――部活終わったから、ファミレスな  別に断る理由はなかった。俺はぼちぼちと着替えて地元のファミレスに向かう。 「おう」  佐藤がやってきた。 「夕飯食った?」  首を振った。なんにすっかなーと言って、佐藤は俺にメニューを差し出す。言おうか迷って、というか言うつもりでいたけどタイミングを読んでいて、まだいいか、とりあえず選ぶか、と思ってメニューを手に取ったとき、スマホが震えた。画面には『三ツ谷世界』と表示されていた。  ――体調大丈夫?  そのメッセージを見ただけで俺の中にじんわりとあたたかいものが広がって―― 「俺、三ツ谷が好きだ」  そう思わず言ってしまって、あ、と思って佐藤を見た。さぞ驚いているだろうと思ったら、佐藤はびっくりするくらい『無』の表情だった。  え? 「なんだそんなことか」  佐藤はそう言って、注文端末に視線を戻し、「クーポン持ってたかな〜」などと言っている。 「なんだってお前、俺が、三ツ谷を好きなんだぞ」 「あぁ、そうだな」  なんなんだこいつ。口を開いた俺に、 「見てればわかるもん」  と平然と言った。 「見てればわかる?」 「っていうかまだ自覚してなかったことが驚きだよ」  いくらなんでも鈍すぎぃ〜、と言われて、俺は思わずテーブルの下の佐藤の脛を蹴った。 「いって! ばか!」 「馬鹿はお前だ!」  なんでそんなん知ってんだよ。 「いや、わかるだろ普通」  佐藤は俺を見た。 「だってお前、最近三ツ谷の話ばっかりしてるもん」  え。 「まあ、悪口ばっかだけど。前まではマジでどうでもいい、話すなって感じだったのに」  俺は心臓がばくばくした。なんだそれ。なんだそれ。 「今日もあいつはどんくさいとか、今日もあいつはださいとか、今日もあいつはかっこわるいとか、お前ずーっと喋ってんだもん」  やめてくれ。 「しかも、めっちゃ嬉しそうにさ」  恥ずかしい、恥ずかしい恥ずかしい! 「そんなん見てればわかるだろ。めっちゃ好きなんだなって」  ――死ぬ!  苦くて渋い茶を飲んだときみたいな顔になってしまった。振り返ると、確かにあれ以降俺は佐藤に三ツ谷の話ばかりしていた。そうだ、こいつの言う通りだ。俺はそれだけずっと三ツ谷を見ていたんだ。  俺は腕で顔を隠した。ああ。 「お前、顔真っ赤だぞ」  佐藤が腕の下から顔を覗き込んでにやにやしている。  やばい。こんなの、一番ださいのは俺じゃないか。

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