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第15話 ずっと見ていたい
「ん?」
先生は視線を足首から動かさない。
「先生」
「……」
「先生」
「どうした?」
呼び続けて3回目。やっとのことで先生は顔を上げた。いつものつり上がった目じりが不思議そうに、とろんと俺の姿を捉えた。
「痛いか?」
俺の足をすりすりとさすってくれる。
正直、安心した。
嫌われているのは分かっている。それでも、先生が『攻略』しようとしている、完全に愛想をつかしているわけではないことを確かめたかった。
「……何でもないです」
口角がおかしなほど、上がっている自覚がある。
先生はいつもの鋭い目つきに戻り、「なんだ、それは」と小さなため息をつき、再びテーピングを巻き始める。
「意味もないのに呼ばないでくれ」
「すいません」
先生の耳が少しだけ色づいていたのに気づかないふりをした。
窓の外で練習を終えた運動部員達の声が静かな、俺と先生しかいない、部室に響き渡る。
西日に照らされた部室の中、不格好に巻かれていく白いテープがやけに生々しく俺の目に映った。
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