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第23話 関係ないのに

「いいじゃーん!いつもみたいに貸してよ」  ドンっという何かが打ち付けられる音とともに、どこか小馬鹿にしているような複数人の声が聞こえる。  再び建物の陰に戻ると、一人の男子生徒が、いかにも真面目そうな三人の男子に囲まれていた。  あの三人には見覚えがある。確か、三組の頭が良くて、皆に頼られていた人達だったような……。 「俺ら、友達が居ないお前とわざわざ一緒に、いてやってんの。お礼くらい必要だと思わない?」 「……でも!それとこれとは」 「じゃあ、俺ら友達なんだし、ちょっとくらい貸してくれてもいいでしょ。俺、困ってるんだ」  迫っている一人は、壁に追い詰められる生徒と仲良くじゃれ合っているような様子を見せるが、その顔は邪悪に歪んでいる。  絡まれている生徒は、意を決したようにそれを突き放した。 「ごめん。無理。もう無理。無理なんだ」  勢いづいた声が徐々に小さくなっていく。 「じゃあ、仕方ないか」  迫る生徒が、腕を振り上げるのが見えた。  関わらない方がいいに決まっている。こんなの、俺に関係ない。  分かっているのに、気づけば踏み出していて。腹部に鋭い痛みが走る。  顔じゃないのかよ。 「何だよ。お前に関係ないだろ」  口をパクパクさせながら、俺の胸倉を掴む。  正直、俺よりも小さいから威圧感はそんなになかった。  俺の背後に隠れる生徒をそっと逃がす。 「もう止めたら?」 「は?」  簡単に引き下がると思ったが、意外としぶとい。 「だから、もう止めればって言ってんの」  怖がらすために、胸倉を掴み返す。 「お前らは信用あるかもしれないけど、俺もう見ちゃったから。あの子と一緒に報告しに行くから」  俺の胸倉を掴む手を、無理やり剥がす。  体育館に戻ろうと一歩を踏み出したその瞬間、筋が浮き出るほど固く握られた手が空を切るのが見えた。

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