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第36話 そんなこと分かってる
先生はそれに気づいていながらも、扉に手をかける。
「……お前は生徒だ」
無理矢理絞り出されたような声が切ない響きを持って取り残される。
準備室に扉の閉める音だけが鳴った。
追いかけるべきだ。
俺は急いで扉に手をかける。
でも、追いかけて何を言ったらいい?
情けない俺の手は扉を開けることなく、下に垂れる。
俺を『攻略』しようとしたのも、あの固いネクタイも、俺に触れた時の震える指も、ノートに書かれた好きも、全部、俺のことが好きだから?
全ての点が繋がり、一つの線となる。
扉を背に口を覆い、座り込んだ。
分からない。なぜ先生は俺のことが好き?
俺は、先生のことが好き?
俺だけを見て欲しい。先生が俺をみてくれると嬉しいし、嫌われていないと知った時、嬉しかった。それだけじゃ足りないとも思った。
でも、これは恋なのか?尊敬の類ではなくて?
「あー、分かんねぇ」
俺は頭をかきむしった。
そもそも先生は男で、俺も男だ。
それでも、そんなこと分かっているのに先生の横顔を思い出すだけで胸が震えるのはなぜなのだろう。
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