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第9話
朝、隣にある熱で目を覚ます。
冬だというのにシマさんは温かい。
子供体温なんだろうな。
隣で寝てた俺は暑いくらいだ。
腰はズクリと痛み、重い。
けど不思議と嫌な気持ちはしなかった。
ヒロとねた日の朝は俺の胸には虚しさばかり広がる。
けど今朝は違った。
運動後のような心地いい疲労感と達成感しかない。
俺が起きあがろうと動くと、
「ん」
シマさんがベットの振動で目覚めた。
「おはようございます、シマさん。」
まだ寝ぼけているのか焦点の定まらない目で俺の顔をみながらシマさんは挨拶する。
「おはようございます。」
そう言ってまた布団にくるまる。
朝は弱いらし。
シマさんが寝てる間に俺は朝食を用意する。
丁度、トーストが焼けた頃にシマさんは布団から這い出てきた。
シマさんの前にトーストとコーヒーをだす。
「朝ごはん、どうぞ。」
「ありがとうございます。いただきます。」
眠そうな目を擦りながらシマさんはお礼と挨拶をいう。
きっとこれらの行為はシマさんにとって当たり前のことなんだろう。
口にモソモソとトーストを頬張る姿がハムスターみたいで癒される。
そんなことをシマさんをみながら考えていると、みるみるシマさんの顔が青くなっていく。
「すみませんでした!!!」
綺麗な土下座だ。
俺は関心して眺めていたが、ハッとする。
「顔をあげてください。俺から誘ったんで気にしないでくださいよ。」
シマさんは俺がこう言ってもめり込むくらいに床に頭をつける。
「いや、そんな訳にはいけません。責任とります!!」
責任だなんて求めてない。
俺が彼の傷に共感して勝手にやったことだ。
それに気持ちよかったし。
「責任だなんて大袈裟ですよ。大丈夫ですから。」
「そんなのじゃ、僕が納得できません!責任取らせてください!!」
シマさんは物凄い圧で俺にいう。
そうだった、この人は手を繋ぐのに1ヶ月もかける人だ。
そんな人がやって終わりなんて関係に納得する訳ないか。
ふと俺に最低な考えが浮かぶ。
シマさんといれば、いつかヒロを忘れられるかもしれない。
「じゃあ、責任とってくださいね。」
「はい!これからよろしくお願いします。」
俺の返事にシマさんは元気よく返事する。
愛の告白じゃなくて選手宣誓に聞こえた。
俺はシマさんの良心と罪悪感を利用したのだ。
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