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第16話

ブチリ 俺の体内で聞いたことがない音がなった。 次の瞬間、膝に強い痛みが走る。 あまりの痛みに俺は倒れ込む。 「大丈夫か!」 顧問が駆け寄ってくる。 そして俺の膝の腫れをみて目の色を変える。 「タンカーもってこい!あと、保険医の先生連れてこい!」 痛みと緊迫した状況の中で俺が考えていたのは、試合に出れるかどうかだけだった。 あの後、保険医の勧めで病院に行った。 そこで触診やCTスキャンを受ける。 物々しい機械に俺の不安は大きくなっていく。 そして俺の嫌な予感は当たってしまった。 医者は俺に最悪の診断をくだす。 「前十字靭帯損傷です。ここが切れてます。」 医者は俺のレントゲンを指刺しながら説明する。 見ると右の膝は左と違って黒い部分がある。 「先生、来月には大会があって、リハビリすれば出られるんですよね。」 俺がそう言うと医者は真剣な目で俺をみる。 「いや、出てはいけません。この怪我を放っておくと、競技どころか日常生活にも影響が出ます。つらいと思いますが、ここから約10ヶ月間、リハビリと治療を一緒に頑張りましょう。」 10ヶ月。 医者の言った期間に俺は絶望する。 次の大会はようやくリレーメンバーに入れたのに。 短距離は部員数が一番多くてリレーメンバーの枠は取り合いだ。 一年生の頃からリレーを走ることを目標に俺は練習してきた。 やっとここまできたのに、どうして。 俺の視界はぼやけていく。

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