16 / 27
第16話
ブチリ
俺の体内で聞いたことがない音がなった。
次の瞬間、膝に強い痛みが走る。
あまりの痛みに俺は倒れ込む。
「大丈夫か!」
顧問が駆け寄ってくる。
そして俺の膝の腫れをみて目の色を変える。
「タンカーもってこい!あと、保険医の先生連れてこい!」
痛みと緊迫した状況の中で俺が考えていたのは、試合に出れるかどうかだけだった。
あの後、保険医の勧めで病院に行った。
そこで触診やCTスキャンを受ける。
物々しい機械に俺の不安は大きくなっていく。
そして俺の嫌な予感は当たってしまった。
医者は俺に最悪の診断をくだす。
「前十字靭帯損傷です。ここが切れてます。」
医者は俺のレントゲンを指刺しながら説明する。
見ると右の膝は左と違って黒い部分がある。
「先生、来月には大会があって、リハビリすれば出られるんですよね。」
俺がそう言うと医者は真剣な目で俺をみる。
「いや、出てはいけません。この怪我を放っておくと、競技どころか日常生活にも影響が出ます。つらいと思いますが、ここから約10ヶ月間、リハビリと治療を一緒に頑張りましょう。」
10ヶ月。
医者の言った期間に俺は絶望する。
次の大会はようやくリレーメンバーに入れたのに。
短距離は部員数が一番多くてリレーメンバーの枠は取り合いだ。
一年生の頃からリレーを走ることを目標に俺は練習してきた。
やっとここまできたのに、どうして。
俺の視界はぼやけていく。
ともだちにシェアしよう!

