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第18話

俺の席は窓際だ。 そこからは校庭がよく見える 。 授業中は日差しを理由にカーテンを閉められるけど、昼休みは換気のために開けなければいけない。 校庭を見る度に俺の膝には痛む。 そんな場所、見たくなくて俺は校舎裏で昼食を取ることにした。 あそこは暗いしジメジメしてるから誰もいないだろう。 校舎裏で母の弁当を食べる。 レバーとか大豆がたくさん入ったオカズが敷き詰められている。 俺の怪我が少しでも速く治るように、という母の愛情からだ。 まずい。 タンパク質ばかりの弁当は食べても食べてもなくならい。 ただ作ってくれた母を思って無理矢理、口に詰め込む。 「ここにいた!なんでおいてくんだよ!」 俺が弁当を食べているとヒロが息を切らしてやって来た。 額には汗が浮かんでいる。 相当、探したらしい。 「別に一緒に食べる約束してないだろ。」 「最近、ずっと一緒に食べてたじゃん。この薄情もの。」 そう言いながらヒロは俺の隣に当たり前みたいに腰掛ける。 俺はその間もずっと口の中でレバーを噛んでいた。 もうすっかりペースト状になっているのに喉を通らない。 「レバー苦手なの?俺、食べようか。」 ヒロの発言にドキリとする。 顔にでていたんだろうか。 「いや、そうでもないけど。今日はお腹空いてなくて。」 歯切れの悪い言い訳をしながら、俺はレバーを飲み込んだ。 喉の奥が気持ち悪い。 「じゃあ、俺もらっていい?パンだけじゃ足りなくてさ。」 「いいよ。ありがとう。」 俺はヒロに弁当を手渡す。 ヒロは俺の弁当をすごく美味しそうに食べる。 こういう奴に食べてもらった方が母も幸せだろう。 あんなに減らなかった弁当はあっという間にヒロの胃袋に消えていった。 満足そうな顔をしたヒロがポッケトから何かを取り出す。 「これ、弁当のお礼にあげる。」 そう言って俺に投げてきた。 俺は慌ててキャッチして、手の中を見る。 煙草だ。 「どうしたの、これ?」 「彼女にもらったんだよね。吸うとスッキリするよ。」 ヒロの5組の彼女は素行が悪いらしい。 俺は聞き耳から得た情報を思い出す。 煙草なんて肺を悪くするだけでいいことなんてない。 以前の俺ならそう言って返しただろう。 『スッキリする。』その言葉を頭で繰り返す。 これを吸ったら喉の不快感もなくなるかもしれない。 「火ある?」 俺を揶揄っていたんだろう。 ヒロは俺がのってくるなんて思ってなかったからか、目を見開く。 でもすぐにライターをくれた。 「初めてなんだから、あんま深く吸うなよ。」 「わかった。ありがとう。」 火をつけて煙草を吸う。 不健康な煙が喉を通って肺を満たす。 喉がひりつく。 「ゲホ、ゴホ」 「あーあ、だから言ったのに。」 ヒロが俺の背中さする。 喉は痛いのに、心はスッとした。

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