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第19話

あの日から俺はたまにヒロと煙草を吸うようになった。 暗くて煙たい校舎裏だけが俺の心が休まる場所だ。 いつものように煙草を吸っていると先に吸い終わったヒロが喋り出す。 「なんかミツルが煙草吸ってるの慣れないわ。」 「別にいいだろ。」 俺だってそう思う。 現に今も喉がひりつくし、肺も苦しい。 けど、これを吸ったら心がスッとするんだ。 ヒロまでそんなこと言わないでほしい。 喉の痛みからか涙が目の奥にたまる。 するとヒロが俺の手から煙草を奪いとる。 自分のがなくなったからって俺の吸う気かよ。 俺がヒロの方を見ると、ヒロは唇を塞いできた。 唇にあたる柔らかな感覚にフリーズする。 そんな俺の口にヒロは舌を捩じ込む。 煙草の苦味が口に広がる。 「ん、あ、ふ」 ヒロの舌が俺の舌を絡めとり、弄ぶ。 唾液が俺に流れ込んでくる。 煙草とキスで呼吸が苦しい。 息ができない。 ドン 俺はヒロを押し返して睨みつけた。 「ハア、ハア。お前、何すんだよ!」 酸欠のせいで乱れた呼吸をしながら無理矢理、声をだす。 するとヒロは悪びれもなく言う。 「だって、ミツル泣きそうだったから。」 そう言われて気づく。 さっきまで目の奥にいた涙がいなくなっていた。 こいつはこうやって女の子も泣き止ませるだろうな。 本当にクズだ。 けど俺はさっきの感触を確かめるみたいに指で唇をなぞった。

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