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第25話
『苺祭』
大学付近のコンビニにある店頭幕に目が奪われた。
そこにはピンクの背景にイチオシの新作スイーツがプリントされている。
煙草を吸うときや昼飯を買うときにしか利用しないのに俺の足はコンビニへと向かう。
店に入るときには独特の音楽が出迎えてくれた。
特に何も買う予定がなかったから店を適当に歩く。
店内は学生で賑わっていて、女の子達がスイーツ売り場で吟味している。
みると新発売のシールが貼られた苺スイーツが並べれていた。
白に赤い苺がちょこんとのったケーキ、ピンク色の牛皮の下から生クリームが透けている大福。
赤や白、ピンクといった可愛らしい色が目につく。
普段は甘いものを食べないのに俺はケーキを手にとってレジへ向かった。
馴染みの定員さんは煙草をとる仕草をしたので
「今日は大丈夫です。」
と言ってやめてもらった。
値段を見ずにカゴに入れたから会計時に意外と高いことに気づく。
ギリギリ電子マネーが足りてよかった。
コンビニ袋にケーキを持ちながら店を出る。
何気なく喫煙スペースに目を向けるとそこにいるはずもないやつがいた。
「お前も吸ってく?」
ヒロはそう言って俺にライターを差し出す。
慣れた仕草で煙草の煙をはく様は絵になる。
その煙を浴びながら俺はヒロの隣に立つ。
「お前、煙草やめたんじゃないの?」
「最近またはじめたんだよ。」
ヒロは俺がお前から煙草の匂いが消えたときにどんな気持ちだったか知らない。
俺が必死で忘れようとしている頃に何気なく喫煙を再開した。
そのせいで俺の気持ちは揺らぐ。
まだ俺のつけ込む隙はあるんじゃないかなんて馬鹿なことを考える。
俺はせめても抵抗と煙草に火をつけずに立っていた。
ヒロはちらりと俺の様子をみてなんともない風に言う。
「今日さ、俺の家こない?」
「いいけど、、、。」
ヒロの吐いた煙は俺を絡めとるようにして逃してはくれない。
あの日と同じだ。
コンビニ袋のスイーツがさっきよりも重味を増す。
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