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第31話
「ミツル、塩コショウとって。」
シマさんに塩コショウを手渡すと、ありがとうとお礼が返ってきた。
俺達は一緒に料理をしたり、掃除や洗濯を役割分担したりとまるで同棲しているみたいな生活を送っている。
シマさんも俺の影響で洋食を作るようになって今はカルボナーラを作ってくれている。
俺は付け合わせのサラダに使うレタスをちぎる。
ふと手首に目を向けると前まであった青紫色の痣が黄色くなり、肌に馴染んで消えかけていた。
シマさんは俺の痣がなんでできたかは聞いてこなかった。
それでも、なんとなく察していたのかキスやハグはするけど俺を抱こうとはしなかった。
きっと痣や俺の気持ちを気遣ってのことだろう。
そのおかげか俺のヒロにつけられた痣や怪我の回復は予想よりも速かった。
痣が薄れていくにつれて俺の中でのヒロは消えていく気がする。
もう大丈夫だ、俺はまともになれたんだって思う。
健康的な食事と誰かといる朝が俺の体だけじゃなくて心の傷も癒してくれた。
消えかけた痣を見つめて俺は決心する。
俺を支えてくれてシマさんに俺の体をあけ渡そう。
寂しさを紛らわせるためじゃなくて、2人の愛を確かめるために抱かれたい。
「おいしいね。ミツルの言ってた通り少しマヨネーズいれたのがよかったね。」
シマさんが美味しそうにパスタを食べる。
俺達の隣にはお揃いのマグカップが置かれてて麦茶が注がれている。
「でしょ。」
俺は少し自慢げに答える。
前まではネットから拾ってきたレシピを真似するだけだったけどシマさんの味覚に合わせてレシピに少し付け足すようになった。
だからこの味はヒロも食べたことない味だ。
もう俺はヒロなんていなくても笑える。
だから俺は今日、体の奥まで全てシマさんの色に染めて完全にヒロなんて忘れてしまいたい。
シマさんは俺から言わないと何もしてこない。
緊張からじわりと手に汗が滲んだ。
俺の決意なんて知らないシマさんは呑気にパスタを食べている。
口の端には少しソースがついていた。
そんなシマさんを見つめながら唾を飲み込む。
「あのさ、、。今日、一緒に寝たい。」
頬は火が出そうなほどに熱を持っていた。
それでもシマさんはキョトンとしている。
俺達は同じ布団で寝ているからだ。
だから今俺が聞いたことは普通に行われてることだった。
「いいけど、どうしたの?」
シマさんの質問はもっともだ。
考えてみれば抱かれたいなんて言葉で誘うの初めてだった。
だけど悲しいかな、鈍感なシマさんは俺の精一杯搾り出したこの言葉は伝わらない。
今だけはシマさんのヒロとは違う清らかさが憎く思えた。
だから俺は恥ずかしさの限界に達していたのにさらに言葉を紡ぐ。
「えと、普通に寝るとかじゃなくて、、、。抱かれたいって意味なんだけど。」
俺の発言を聞いた途端にシマさんの顔は真っ赤になる。
あんまりにも驚いたのか手に持っていたフォークを落としてしまった。
目を見開いて何も話さないシマさんをみて失敗したと思った俺は訂正する。
「いや、えと、シマが嫌なら別にいいんだけど、その、、、。」
焦って言葉を続ける俺の手をシマさんがとる。
その手は俺と同じでじんわりと汗が滲んでいた。
その熱と水分が俺達が同じ気持ちなんだって伝えてくる。
「嬉しい。ミツルのこと大切にするね。」
シマさんは赤い顔をしながらまるでプロポーズでもするみたいな目をして告げてくれた。
ただ体を繋げるという行為なのに、ここまで緊張するなんて不思議に思う。
ヒロは抱き方は優しくても俺を求める理由は自分よがりなものだった。
俺なんかの体と心を両方とも大切にしてくれているシマさんとは大違いだ。
俺はきっともうシマさんのことが好きになれてる。
同じ気持ちであることを示すためにシマさんの手を握り返した。
シマさんの後にお風呂に入る。
久しぶりだから準備に時間がかかってしまった。
だから少しのぼせてしまって頬が赤く染まってる姿が鏡に映る。
少しぽやぽやした頭で寝室へと向かうと、そこにはカチコチに固まったシマさんがいた。
その姿をみて、頭がすっきりしてきてのぼせたのとは別の意味で顔が赤くなるのがわかった。
ぎこちない足取りでシマさんの方へと歩みを進める。
すると俺の気配に気付いたのか、シマさんが振り向く。
シマさんと視線がぶつかった瞬間になんだか気恥ずかしくて目線を逸らした。
そんな俺をシマさんは真っ直ぐ見つめてくる。
特段おしゃれをしているわけでもないからそんなに見ないでほしい。
この空気に耐えられなくて俺は話し出す。
「時間かかってごめんね。そっちいってもいい?」
テンパった頭はさらに俺を追い詰めることを言う。
近づが無ければいけないのはわかってるけど、なんだかわざわざ聞くのは恥ずかしい。
それでも俺と同じくらい、いや俺以上に緊張したシマさんが震える声で
「い、いいよ。」
なんて答えたから俺だけじゃないとわかって安心した。
シマさんの正面に座る。
お互い正座をしているからかこれから将棋なんかの対局が始まるみたいだ。
ヒロと初めてしたときを思い出したけど、あの時はヒロはシマさんみたいに緊張なんかしてなかったのを思い出して少しだけ悲しくなった。
俺のそんな気持ちが顔に出ていたのかシマさんが心配そうに
「ミツル、大丈夫?」
と問いかけてくれる。
シマさんに抱かれるのにヒロを思い出して悲しくなるなんてよくない。
ヒロを消すために俺は笑ってみせた。
「うん。ちょっと緊張しただけ。」
俺がそう言うとシマさんは「よかった。」と小さく呟いて手を握ってくれる。
緊張のせいか少し震えているのが伝わってきた。
なんだか可愛らしく思えて俺はシマさんに軽く口付ける。
お風呂上がりの俺よりも少し冷たい唇の温度が伝わってきた。
シマさんはびっくりして固まってしまっているけど、俺は甘えるみたいに触れるだけのキスを繰り返す。
するとシマさんが答えるみたいにぎこちなく唇を合わせてくれた。
だから俺はその上唇を軽くはむと、シマさんの口が薄く開く。
その隙間から舌を滑り込ませて歯列をなぞった。
シマさんの口からはミントの味がして、官能的なキスをしているのにどこか辿々しい。
ヒロよりも丸い犬歯の先に俺の舌を当てると、シマさんは慌てて口を開く。
その隙に俺はさらに奥へと舌を進めて、シマさんの舌を絡めとる。
舌先を合わせてゆっくりと動かすと、シマさんは眉をよせた。
少しずつ緊張がほぐれてきたのかシマさんも俺の動きに合わせるみたいにして舌を動かす。
だんだんと水音が増していく。
ついいつもの癖でシマさんの上顎を舐めとるとシマさんが肩を振るわせた。
いつものキスでは俺が触れたことがない場所だったから驚いたようだ。
俺は慌ててシマさんの唇を離す。
「ごめん、大丈夫?」
シマさんを覗き込むとまだキスのときの上手な息継ぎの仕方を覚えてないからか肩で息をしていた。
言葉を発しても吐息でかき消されて俺はよく聞こえない。
そんな俺を安心させようとシマさんは首を縦にふる。
まずはシマさんの息を落ち着かせるために俺は
「息吸うだけじゃなくて吐いて。」
シマさんの背中を摩りながら、呼吸を促す。
俺がまだキスにも煙草にも慣れてなくて過呼吸になってしまったときに同じようにヒロも背中をさすってくれた。
だんだんとシマさんの呼吸も落ち着いてきてから、シマさんのスウェットを脱がそうとすると
「待って。僕もミツルを気持ちよくしたい。」
と動きを止められた。
さっきのキスでも俺は十分気持ちよかっけど、シマさんよりも慣れている俺をみて不安にさせてしまったかもしれない。
急ぎすぎたのを反省する。
リードするのは慣れていないからヒロの真似をするみたいでシマさんのペースを考えていなかった。
シマさんの手を俺の服の下へと導く。
「ん。じゃあ、ここ触って。」
シマさんとの健康的な生活のおかげで少し肉付きのよくなった脇腹にシマさんの手を添えさせる。
緊張しているのかぴくりとも動かない指先や手の平を肌にピッタリと密着させた。
子供体温だから俺よりも高い温度の手が汗ばんでいてその熱が俺にも移っていく。
そんなに見つめることもないだろうにシマさんは俺の脇腹から胸、鎖骨を顔を赤くしながら見ている。
「上、触ってもいい?」
シマさんは遠慮がちにそう聞く。
俺が頷くと、シマさんの手が上へと登っていった。
俺を傷つけないようにと優しく撫でるような手つきが逆に俺に快感を与える。
もどかしいゆっくりとした動きが焦ったい。
シマさんの手が俺の尖りを撫でる。
久しぶりの感覚に俺のそこは少しの刺激で硬くなった。
それなのにシマさんは軽く触れるだけの動きを繰り返すから俺は焦ったい。
「もっと強くてもいいよ。」
俺がそういってもシマさんの瞳は不安そうに揺れる。
俺の体には手首だけじゃなくて腰にも手形があったのを知っているからだろう。
シマさんに俺はもう平気だってみせるためにシマさんの触れていないほうの尖りを触る。
軽く押しつぶすようにすると軽い痺れが腰に走った。
それでも男だからか自分で触れるだけでは物足りなくて
「こうやって触って」
そう言ってシマさんを誘うように見せつける。
シマさんの手が俺の真似をするみたいに動かされた。
俺よりも長くて細い指が俺の尖りを少し弱い力で押しつぶす。
それでもさっきよりも直接的な刺激に俺は思わず声を漏らす。
「ん、上手。」
そう言いながらシマさんの髪を指でとかすといつもはサラサラの溢れていくのに少し湿っていて指にまとわりついた。
ただシマさんの拙い手つきでは俺は完全に達することはできない。
だからシマさんの太腿に下半身をすり寄せて下からの刺激もえる。
蛇が獲物に絡みつくようにしてシマさんの太腿へ脚を絡める。
するとシマさんが俺の物足りない様子に気づいたのか
「ねぇ、ミツル。下も触ってもいい?」
ヒロならそんなこと聞いてこないで俺の様子をみて猫が擦り寄るみたいにするりと手を滑らせる。
だけどシマさんの触り方は割れものを扱うように丁寧だ。
俺が頷くとシマさんの手が下着の下に入り込む。
俺のそこは胸への刺激やらですでに緩く硬度を持っていた。
シマさんの手はそこを俺のをそっと包み込んでゆるゆると上下に動く。
さっきよりは直接的な感触に俺のそこは硬度をましていったけど、俺の好きなとこには触れられず少し物足りない。
ヒロとしていたときは同じ男だから気持ちいいとこもわかるのだろうなんて考えていたけどシマさんの手つきを見ると皮肉なことにそうではなかったのだわかってしまった。
シマさんはきっと自慰もそんなにしないだろう。
このままではイくことができない。
誰かと体を重ねるのは久しぶりだから俺の窄まりは以前より硬く閉ざされている。
だから準備をしていたとしても一度イッておきたい。
さらなる刺激をえるために俺はシマさんの耳元で低く囁く。
「一緒にしよう。」
俺がそう言うとシマさんの喉仏は上下に動かした。
その様子を肯定と捉えて俺はシマさんの竿に触れる。
そこは俺のとは違ってすでに爆発しそうなほど張り詰めていてパジャマ越しにもテントを張っているのがみてとれる。
俺が布越しに撫でると
「ん、はぁ」
と耳に息が吹きかけれた。
シマさんの竿を刺激しすぎないように丁寧にズボンと下着を一緒にずり下ろす。
シマさんのそこは白くてやっぱり綺麗で俺やヒロなんかとは全然違う。
それでも触れてみると熱くて硬く血管が浮き出ているのがわかった。
それに先からだされた精液がテラテラと反射している。
俺はそれを手にとり、自身に塗りつけるとさっきよりも滑りがよくなって気持ちがいい。
俺が一緒にしようと言ったのに頷いたけどどうするのかわかっていなかったシマさんは俺の様子をじっと見ている。
俺はシマさんの手をとり俺とシマさんの竿を握り込ませてその上からシマさんの手を包んだ。
シマさんの張り詰めたそこが俺のかりや裏筋に擦れる。
俺達は初めは遠慮がちに触っていたけどだんだん手の動きを速めていく。
俺とシマさんの精液が混ざり合い泡立つ。
卑猥な水音ともに俺の海綿体へと血液が集まっている。
シマさんのかりに俺のかりが擦り合わせられたときに鈍く甘い痺れが腰を走った。
『もういく』
そう思っていると俺の腹にどろりと温かい感触があった。
「つ、、。」
シマさんが達したのだろう。
数秒遅れて俺もシマさんの腹を自身の精液で汚した。
いったばかりは頭がぽやぽやしていい感じに体の力が抜けている。
今ならば後ろだいぶほぐれているだろうと後孔に指を当てた。
思った通り後ろは俺の指を飲み込んで風呂場で仕込んできたローションが指をつたう。
たぶんもう2本は指を加えることができる。
俺は尻たぶを手で押し広げて秘部をさらす。
「ねぇ、きて」
俺は誘うように笑みを浮かべた。
けれど、
「本当に大丈夫?」
そう言ってシマさんの瞳は不安を覗かせた。
さっき出したばかりなのにもう硬度を持ち始めている下半身とチグハグな顔だ。
今日だけで何回この顔をさせてしまったのか。
こんなに俺を大切にしてくれる人に体を預けたい。
「大丈夫だから。」
そう言いながらシマさんの唇に軽く触れるだけのキスをひとつ落として、微笑む。
するとシマさん俺の腰の下に枕を持ってきて
「わかった。辛かった言って。」
と優しく髪を撫でてくれた。
「じゃあ、挿れるね。」
その一言ともにグッと硬いものが押し当てられる。
こいうときは息を吐いたほうが楽だとわかっているなのに息がつまった。
「う、、。」
めりめりと内壁が広げられていく。
別に初めてでもないようにそこはシマさんを拒むみたいに唸る。
内臓が捲り上げれるような感覚に俺の額には厚さからではない汗がつたった。
「ミツル、大丈夫?やめとく?」
シマさんは心配そうに俺の汗を拭って動きをとめる。
「久しぶりだから馴染むまで待って。」
もっと上手くいく予定だったのに情けなくて涙が滲んだ。
「わかった。」
シマさんは優しい目で俺を見つめる。
さっきまで瞳に宿っていた欲はすっかりと消え失せた。
なんだかそれが寂しくて俺はシマさんに手を伸ばす。
するとシマさんは俺を抱き止める。
お互いの汗で普通に抱き合うよりも体がぴったりと合わさった。
俺は自分を包む体の温度や凹凸を焼き付けるように腕の力をそっと強める。
中に意識を向けてヒロの形をすっかりと覚えたそこを作り変えること集中した。
だんだんと異物感がなくなり呼吸もしやすくなる。
シマさんのを咥え込んだ後ははじめより幾分か力が抜けた。
もう動いても大丈夫だと思い感覚に集中するために閉じていて瞼を開く。
すると奥歯を噛み締めているのか左右が若干非対称なシマさんの顔が見えた。
それなのにシマさんは俺からの目線に気づくとなんてことないようににっこりと微笑む。
シマさんだって辛いはずなのに俺のことを待ってくれていた。
『シマさんを気持ちよくしてあげたい。』
俺はシマさんの背中から手を上と滑らせて首に触れる。
「も、大丈夫だから。動いて。」
「うん。じゃあ動くね。」
そう言って開始された動きは緩やかで優しくて内側を撫で付ける。
反対に中のもの今にも張り裂けそうなくらいに固さをもっていた。
同じ男だからわかる、こんなの辛いに決まっている。
シマさんは俺を傷つけてしまわぬように理性で必死に欲を抑えてくれているのがわかった。
だから俺はその理性を断ち切るために上体を起こして少し乱暴に口の間から舌を捩じ込む。
「ん、ふ。 」
初めは驚いていたシマさんも次第に舌を絡ませてきてお互い貪るように口付けをかわした。
シマさんの動きが少しぎこちなくなったとこで俺は唇を離す。
唇の端からは唾液が伝う。
俺が舌でそれをぺろりと舐め取り、
「もっときてよ。」
と言うとシマさんの理性は吹き飛んだ。
とさりと布団に倒されて手を繋がれる。
さっきまでのゆるりとした動きとは違い早い動きが俺の中を掻き乱す。
ぐちゅりと腸液とローションの混ざり合う音が体の内側から響く。
速められる動きとともにシマさんの陰茎は俺の奥へ奥へと入り込んだ。
「ん、あ」
どちらとも分からない言葉にならない音が部屋にこだまする。
そしてついにシマさんの陰茎は俺の奥へと達した。
その久しぶりの衝撃に瞼の裏にチカチカと火花が散る。
「あ、ああ。んや。」
俺は体を揺さぶられるたびに体が弓のようにしなった。
奥に一突きされるごとに俺の視界はぼやけていく。
涙の膜がシマさんの姿を歪ませ、次第に考えることさえ忘れて快楽を得るために腰を振った。
徐々に下半身の海綿体に血液が集まり、中とそこの感覚しかなくなる。
完全に視界が白み俺は自身の体の反応に身をまかした。
『もう、イく』
体に力が入り目の前の体を爪をたてて抱き止める。
中のものも硬く熱く張り裂けてしまいそうだった。
「ん、ヒロ、、、、」
その言葉と共に俺ははてた。
少し遅れて腹の中のものも硬度を失った。
さっきまで快楽に浮かされて熱っていた体は冷水を浴びせられたように冷たく、自分の腹を汚す精液と中にだされものだけが熱く感じられる。
俺はなんてことをしてしまったんだ。
罪悪感からシマさんの顔が見られなくて顔を背けた。
どんな恨み言を言われてしまっても仕方がないと思っている。
それなのにシマさんからは
「片付けておくから先にお風呂入ってきなよ。立てる?」
なんて優しい言葉がかけられた。
俺の腰を支えようと手をやんわりと拒んで風呂場へ足早に向かう。
「ありがとう、、、。」
血が通った感覚のない唇で反射的にお礼の言葉を紡いだ。
目を覚ますためにいつもよりも熱いシャワーを浴びたのに酷く体が冷えた。
けれどもう治ったと思っていた黄色の痣だけが鈍く痛んで熱をもっていた。
お風呂から上がると机にはペットボトルが一本置かれていた。
「お水、よかったら飲んで。」
シマさんに促されてそれを開けようと手に力を込めたがすでにキャップは緩められていてすぐに開けることができた。
さっきからカラカラと乾いて声がだけない喉に水が流れ込んだ。
冷蔵庫で直前まで冷やされていたそれは喉に痛いくらいに冷たい。
ただお陰で喉が潤い声が出せそうだ。
俺は自分の罪を謝るために口を開くと、、
「もう、終わりにしよう。」
と言うシマさんの声で俺の言葉は遮れた。
あんなことをしたんだから振られても仕方がない。
シマさんの唇がさらに言葉を紡ごうと動くのを見て俺は口を閉じた。
「ごめん。僕、本当は気づいていたんだ。ミツルが僕のことを好きじゃないことも、必死に本当に好きな人を忘れようとしていたことも。でも僕はミツルが苦しそうなのに一緒にいたくて気づかないふりしていた。」
なんでシマさんが謝るんだ悪いのは俺なのに。
けれどその言葉でああ、シマさんには全てバレてしまっていたんだと悟った。
シマさんは俺自身が必死に目を逸らし続けていた俺の本音に気づいていたんだ。
でも、悪いのはシマさんじゃない。
シマさんからの好意を自分が楽になるためだけに利用した俺だ。
でも、きっと優しいシマさんは俺を責めることなんてできない。
そんな打算的な考えでシマさんに自分が甘えてしまっていたんだと今になって気づく。
もう遅いかもしれないけどシマさんに謝りたい。
そう思って俺も口を開いた。
「ごめんなさい。俺は自分が楽になるためにシマさんのことを利用しました。だから悪いのは俺なんです。謝らないでください。」
俺がそう言ってもシマさんは首をふった。
「僕が悪いんだ。今まで縛り付けてごめん。もう自由になって、、、。本当に会いたい人に会いに行ってほしい。」
そんなことを言いながらシマさんは優しく微笑んだ。
どこまでも優しいこの人に傷つけてしまった。
酷い俺に泣く資格なんてないのに涙が溢れてくる。
必死に止めようとぐしぐしと目を擦ると、シマさんは
「そんなに擦ると赤くなってしまいますよ。」
なんて言いながらハンカチを差し出してくれた。
その後は俺がソファで寝るというとシマさんに最後のお願いだからベットで寝てと言われて俺はベットで寝た。
清潔な匂いのシーツがここでは何もなかったように感じさせた。
泣き疲れていたからか自然と瞼が落ちる。
翌朝、まだ日も登りきらない時間に俺はそそくさと部屋を出た。
シマさんの眠っているソファに目を向けると体が上下に規則的に動いている。
「ごめんなさい、、、。」
受け取ってもらえなかった謝罪をその背中にもう一度投げかけてシマさんの家を後にした。
いっそのこと恨み言の一つでも言ってくれればよかったのにそしたら、俺は自分だけが悪いなんて考えずに済んだのになんて自分勝手な考えが浮かんだ。
苦い罪悪感がジクジクと胸を締め上げた。
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