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第9話
俺と晴彦さんは、帰る方向が同じだから一緒に帰る。
「キヨ、俺さお前のこと好きだったんだわ。」
晴彦さんが眠そうに言う。
突然の告白に俺は固まってしまう。
俺の本能がこれはメンバーとしての好きではないとわかってしまった。
「最近、お前の音が変わって俺らの方を見るようになったのが、多分、小野寺のやつのせいで俺は嫌だった。」
その指摘は俺の図星をついてビックリして目を見開く。
すると晴彦さんは笑って続ける。
「お前、わかりやすいな。
おもしろ。
そんで俺はお前を取られたくないから必死に音を鳴らした。
それこそ、自分を顧みないくらいに。
でもさ、今日お前とシンの演奏聞いてさ、俺は思ったんだよ。
音楽で殴り合えるのは、俺だけだって。
それにお前の音、俺のことを尊敬してますみたいな音がして、俺はお前の恋人とのにはなれないってはっきりわかった。」
俺は、晴彦さんの話を聞いて、俯く。
その通りだ。
俺は晴彦さんの思いに応えられない。
こんなに俺を救ってくれて、尊敬している人なのに。
さっき堪えてた、涙が今になってでてきた。
「ごめんなさい。俺、晴彦さんのこと、尊敬してるけど、恋人にはなれません。」
泣きじゃくる俺の頭を晴彦さんは、ぐしゃぐしゃと乱雑になでる。
「2回もふるなよ。傷つくだろ。おれはお前らと音楽できたら充分だから。俺は幸せ者だ。こんないいメンバーにあえてさ。」
晴彦さんが顔をくしゃりとして笑う。
晴彦さんは本当にすごい人だと思う。
だから俺はこの人のバンドメンバーとして恥じないように負けないようにしようと心に誓った。
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