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第10話
あれから、俺たちは今までの分を取り戻すみたいにライブをした。
あの日みたいなめちゃくちゃな演奏はしなかった。
けど、俺たちは前みたいに晴彦さんを目立たせるだけのバンドじゃなくて晴彦さんを食ってかかるようなフレーズをいれるバンドになった。小野寺さんは、毎回ライブに足を運んでくれる。
いつも物欲しそうに俺をみてるくせに、物販は真矢さんのとこに行ってそそくさと帰ってしまうのだ。
あの一件のお礼を伝えたくて、俺から連絡を取っても『忙しいので。』とのらりくらりとかわされている。
忙しい人間がライブ全通なんてできないと思うんだけど。
でも、前より強くなった俺はここでへこたれない。
小野寺さんの授業が終わるの出待ちしてカフェに引き摺り込んだ。
「俺の奢りなので、好きに頼んでください。ただ金欠なんで手加減してください。」
俺の前で、小野寺さんは俯いて、気まずそうにしている。
なんか焼肉屋のときと逆の立場になったみたいだ。
小野寺さんは1番安い、コーヒーを一杯頼んで、俺も同じものを頼んだ。
こんな時も俺のお金を考えてくれるなんて、いい人すぎでしょこの人。
「なんで、最近、連絡してくれないんですか。」
と聞くと小野寺さんは、
「忙しいくて、すみません。」
とLIMEと全く同じことをいう。
「忙しい人がライブ全通できませんよ。他に理由あるんですか。」
小野寺さんは図星を突かれて、見たことない表情をした。
こんなに余裕がない小野寺さんは初めて見たかもしれない。
「1ファンが、偉そうに説教してしまったことを後で思い出し恥ずかしくて、キヨさんのことが見れないんです。勘弁してくださいよ。あのこと、忘れて欲しいです。」
小野寺さんは恥ずかしそうに言っていた。
そんなことを気にしていたのかと俺の気は抜けた。
ついに、愛想尽かされたと不安にもなってきたから。
「なんでそんなこと言うんですか。あの言葉がなきゃfat catは終わってましたよ。今の俺たちがあるのは小野寺さんのお陰です。ありがとうございます。だから恥ずかしがる必要がないのでこれからも連絡とってください。」
俺はやっと小野寺さんにお礼を言えた。
でも、恥ずかしいだけでいつもぐいぐいきた小野寺さんが俺を避けるだろうか。
俺が納得してないことが顔にでてたのか小野寺さんはさらに話しだす。
「俺は、キヨさんが思ってるみたいに、純粋な気持ちでfat catをみてる訳じゃないんてますよ。キヨさんと関わるうちに好きになっちゃたんです。でも、キヨさんにはハルがいるからそんな俺がキヨさんに近づいたらダメなんです。」
小野寺さんの発言に動揺する。
俺のことをそんなに大切な友達と思ってくれてたなんて。
ただなんで晴彦さんが出てくるかわからなかった。
とにかく、誤解を解くため俺は続ける。
「晴彦さんとは、何にもありませんよ。告白されたけど、俺が応えれられないの晴彦さんはわかってて、普通のバンドメンバーやってますし。それに、俺は晴彦さんのことは尊敬してるんで付き合うとかそいう感じじゃないんです。」
俺の発言に小野寺さんは目を見開いている。
「でも、ハルがキヨさんのTシャツ着て家からでてきたのは?」
「あれは、酔っ払った晴彦さんを介抱しただけです。」
「そうなんですね、、、、。」
俺たの間に気まずい沈黙が流れる。
すると目の前の小野寺さんの顔がみるみる赤く染まっていく。
熱でもあるのだろうか。
そして小野寺さんは俺をまだ避け続けるている。
その話を晴彦さんにすると晴彦さんは苦虫を噛み潰したような顔をしながら言う。
「お前の鈍感さには、小野寺に同情するわ。あと、降った相手にそんなん話す無神経さも。」
だって、しょうがないじゃないか。
俺がこんなこと話させるのは晴彦さんだけなのだ。
晴彦さんはめんどくさそうにしながらもアドバイスをくれた。
「キヨは、小野寺のこと、どう思ってるのか考えれば。」
俺が小野寺さんをどう思ってるのか。
確かに考えたことがなかったかもしれない。
小野寺さんは、イケメンで優しくて神様みたいな存在。
俺たちのバンドを救ってくれたファン。
リア充のコミュ力お化け。
色々、考えたけど、どれもしっくりこない。
頭を捻って考えていると
「キヨさんと関わる内に好きになっちゃんたんです。」
という小野寺さんの言葉を思い出した。
徐々に顔が熱を持ち出す。
何だこれ。
これからどうやって小野寺さんと話せばいいんだろ。
俺も小野寺さんと同じ気持ちだったんだ。
親友という俺の人生初の存在ができた。
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