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第11話
「今日も小野寺さんと話せなかった。学校で見かけたのに逃げちゃいました。」
そんなことをメンバーは最初は面白がって、揶揄ってきたりもした。
けど今では、俺が話始めるとうるさいと言って、他ごとをしてしまう始末だ。
俺は真剣に悩んでいるのに薄情な人達だ。
今日はライブで休日だから、人入りがいい。
でも、俺はすぐに小野寺さんを見つけてしまう。
一瞬、客席の小野寺さんと目があって恥ずかしい。
みていたのがバレてしまったのだろうか。
鼓動が速くなる。
けど、2人と音をならすとそんな感情はどこかへ行ってしまう。
音を掻き鳴らす。
2人とやる音楽はやっぱり最高だ。
ライブが終わった後、物販をする。
小野寺さんはいつものように真矢さんからグッズを買おうとする。
俺も小野寺さんの顔をまともに見れないからありがたい。
「俺の売ってるやつはもう完売したんだ。」
真也さんが耳を疑うようなことをいう。
見るとまだグッズは山積みに積まれている。
何を言い出すんだこの人は。
「え、でもたくさんありますよね。」
小野寺さんは戸惑い気味に尋ねる。
でも真矢さんは頑なに、ない。としか言わない。
さらには、
「俺のは、売れたから、キヨから買ってくれ。」
なんて言い出した。
それは困るからやめて欲しい。
仕方なく小野寺さんは1番長い列の晴彦さんの列に並んで、物販を買おうとする。
でも、列の先頭にきた小野寺さんを見ると晴彦さんは
「俺のも、売れたからキヨのとこ行って。」
と、小野寺さんにグッズを売らなかった。
何考えてるのこの2人。
俺と小野寺さんが気まずいの知ってるでしょ。小野寺さんは今日限定のステッカーを諦めきれず、気まずそうに俺のところに来た。
面と向かって話すのは、1ヶ月ぶりである。
「えと、このステッカーください。」
目が合わないまま会話を続ける。
「ありがとうございます。500円になります。」
そのまま小野寺さんが帰ろうとすると、晴彦さんが小野寺さんに声をかける。
「今日の打ち上げこいよ。」
小野寺さんは晴彦さんを俺達のバンドのファンだ。
好きなバンドのメンバーに誘われて断れるファンなんているはずもなく、俺たちの打ち上げに参加することになった。
席は僕と小野寺さんがとなりという配置になった。
気まずい雰囲気の俺たちをおいて、2人はどんどん酒をあおる。
次第に、晴彦さんが潰れて真矢さんが連れて帰るといういつもの流れとなった。
俺も帰ろうとしたとき、晴彦さんが
「キヨ!俺とシンが場所用意してやったんだから、逃げんなよ。」
と釘を刺してきた。
あの2人、やっぱり俺達を2人きりにしようとしてたんだ。
晴彦さん、真矢さんに迷惑をかけた分、覚悟を決めないとと思い、俺は普段は飲まないビールを飲んだ。
これが良くなかった。
下戸の僕はぶっ倒れ、小野寺さんに介抱されて小野寺さんの家で目を覚ました。
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