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第16話:流星の追撃 ※

 夜は、まだ明ける気配すらなかった。  私は、精根尽き果ててぐったりと横たわるドノバンの、汗で濡れたこめかみに口付けた。 「……なごり惜しいですが。一度、抜きますよ」  私が告げると、意識が朦朧としていたドノバンがビクリと肩を震わせた。  私はドノバンの腰を押さえ、自身の熱をゆっくりと引き抜いた。  ズプ、リ……ジュル……。  栓が抜かれた瞬間、卑猥な水音が響く。  ポカリと開いたままの赤い入り口から、私が注ぎ込んだ種とポーション、そしてドノバンの体液が混じった白い液が、重力に従ってトロリと溢れ出した。  太腿の内側を伝い、シーツに大きな染みを作り、じわじわと広がっていく。 「あ……っ、く……」  ドノバンが、内側を空っぽにされる喪失感に小さく身を震わせた。  だが、次の瞬間だ。  自身の内側から溢れ出る、生々しい他人の熱。その感触が引き金となり、混濁していた彼の意識に、直前の記憶がフラッシュバックしたようだ。 『俺の、な、中に……っ、出せ……ッ!』  絶頂の寸前、なりふり構わず種を強請(ねだ)った、自分自身の浅ましい叫び声。  それが脳内で再生されたのだろう。  ドノバンの顔が、一瞬でカッと沸騰したように赤く染まった。 「う、わ、あああ……ッ」  ドノバンは、耐えきれない羞恥に顔を歪め、両手で顔を覆ってうめいた。  穴からは私の放った精液を垂れ流し、前は根付けで縛られ、精神的にも尊厳を粉々に砕かれた男の姿。  その絶望に染まった姿が、たまらなく愛おしい。  私は、顔を覆う彼の指に優しく触れ、そのままの手で火照った頬をなぞった。 「思い出しましたか? ……自分で、何をねだったのか」 「こ、この……ッ! お前が言わせたんだろうが!」  ドノバンが顔を真っ赤にして反論する。だが、その声には力がなく、ただの弱々しい強がりにしか聞こえない。私はくすりと笑い、さらに顔を近づけた。 「でも、ドノバンさんだって、中が気持ちよすぎて欲しくなったんでしょう?」  言いながら、私は彼の腰へと手を滑らせた。  柔らかな尻の丸みを、愛おしむようにゆっくりと撫で回す。 「ちが、んなわけ……ッ」  敏感な場所を触れられ、ドノバンの体がビクリと跳ねる。  私はその反応を楽しみながら、耳元で甘く囁いた。 「違わないですよ。声、すごく気持ちよさそうでした。それに……私に合わせて腰動いてたの、自分で気づいてなかったんですか?」 「あ゛あ゛あ゛ッ! もういい! 忘れろ! 頼むから忘れてくれ……ッ!」  ドノバンは耳まで真っ赤にして首を振った。  年甲斐もなく取り乱すその姿に、私は胸の奥が甘く痺れるのを感じる。  ふと、ドノバンの視線が自身の股間に落ちた。  そこには、無残に汚れきった『根付け』が、彼の剛直なモノに食い込んでいる。 「あ……そうだ、これ! お前、人が作ってやった物フザケた使い方しやがって!」  ドノバンは羞恥をごまかすように声を荒げ、私を睨んだ。だが、その目には涙が滲んでおり、迫力など微塵もない。  怒りはすぐに、生理的な不快感へと変わったようだ。 「……っ、気持ぢ、悪ぃ……」  ドノバンが顔をしかめた。  飾り結びの房は、彼自身の蜜と、飛び散った白濁をたっぷりと吸い込み、重く、ぐちゃぐちゃに濡れて彼のモノに張り付いていた。 「クソ、ベタついて取れねえ……」  ドノバンが震える手で根付けを外そうと爪を立てる。だが、粘つく液体が指に絡みつき、結び目が固く締まってしまっているようだ。 「まだ外しませんよ」  私はその手を空中で捕まえ、優しく口付けた。 「は……? もう、終わっただろ……」 「終わり? まさか」  私は捕まえた手を離さず、空いた手で、再び彼のモノを根付けごと握り込んだ。  ジュク、と湿った音が鳴る。 「おいッ!? さ、触るな……ッ!」  私が再び擦り上げようとする気配を察知し、ドノバンが悲鳴を上げた。  彼は本能的な危機感から、体を横に向けて私から距離を取ろうともがく。  だが、その動きは私の思うツボだった。 「おっと。……背中を見せてくれるんですか?」  私は、逃げようとする彼の肩と腰に手をかけ、その回転の勢いを利用して、くるりとベッドの上に転がした。 「え、あ……ッ!?」  視界が反転する。  ドノバンは為す術もなく、シーツの上にうつ伏せに這いつくばらされた。  私は間髪入れず、その広い背中に全体重を乗せてのしかかる。 「ぐ、ぅッ……! お、重い……!」 「逃がしませんよ」  私は、無防備に晒されるその背中を、美術品を鑑定するようにじっくりと眺め回した。  素晴らしい。  右肩に残る古い刺突痕(しとつこん)。背骨に沿って走る長い切り傷。  戦士として生きてきた男の、誇り高い歴史。  そして、そこからなだらかに続く、柔らかな双丘。 「ドノバンさん、おかわりをどうぞ」  私は、ドノバンの尻の谷間に自身のモノを挟み込んだ。  一度吐き出したとはいえ、この光景を前にして、私の分身は再び熱を持って鎌首をもたげ始めていた。  ヌルリ、と。  溢れ出た精液で滑りの良くなったそこへ、硬い肉棒を滑らせ、ゆっくりと腰を前後させる。 「あ……ッ! ん、尻に……!」 「ほら、まだこんなに硬いんです。……一度くらいじゃ、私の渇きは癒えませんよ」  尻肉を押し分け、先端が濡れた入り口を掠めるたび、ドノバンの体がビクビクと波打つ。 「ま……っ、セルウィ……! まだ、する気か……!」 「ええ。夜は長いですから」  言うが早いか、私は腰をぐっと押し込んだ。  ズプッ、と。  先ほどの行為で緩み、愛液で濡れそぼった入り口が、私の張り詰めた先端を抵抗なく飲み込む。 「あぐッ!? ひ、あ……ッ! 入っ……!」 「逃げても無駄です。……ほら、もう頭まで入ってしまった」  逃げられない。その事実を体に直接叩き込まれ、ドノバンはガクリと力を抜いて、諦めたようにシーツに顔を埋めた。  私は、その傷だらけの背中と、肉付きの良い尻をたっぷりと味わうべく、愛撫の手を伸ばした。 「ん……ッ!」  ドノバンが、シーツに顔を押し付けたまま、くぐもった声を上げて肩を跳ねさせる。  視界が遮断された状態での愛撫と、背後から再び繋がってしまった事実。そして何より、それを拒めないほど敏感になった己の体への羞恥に、吐息が震えているのだ。  私の指は、その傷跡の一つ一つを、確かめるようにゆっくりとなぞっていく。  そのたびに、彼の背中の筋肉が波打ち、それに呼応するように、私を咥え込んだ内壁がキュウッと甘く収縮する。

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