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第17話:背中に押し付ける嫉妬 ※

(この背中が、どれだけの仲間を守ってきたんだろう) (この背中に、どれだけの重圧がかかってきたんだろう)  そして、私の視線は、ゆっくりと下へ……その腰へと移った。  背中はあれほど厳つく、筋肉質だったのに。  そこから臀部へと続くラインは、信じられないほど丸みを帯び、滑らかな曲線を描いていた。  引退冒険者の体だぞ?  だが、その尻は、年齢による衰えなど微塵も感じさせず、きゅっと引き締まり、高く、弾力に満ちている。  私は、思わずゴクリと喉を鳴らした。 (……なんだ、これは)  私は、その両方の丸みに、手のひらを押し当てた。  ムニュ、と指が沈み込む。  さらに、私は自身の腰を沈め、先端を飲み込んでいる入り口をさらに押し広げるように、太い幹をゆっくりと埋め込んでいった。 「ん! んぐ……ッ! こ、の……っ! 入って……!」  ドノバンが腰を揺らして異物感から逃れようとする。  だが、先ほどたっぷりと開発された内側は、私の侵入を拒むどころか、むしろ喜んで迎え入れるようにとろりと道を開けた。  私が腰を進めると、熱を持った柔肉が私の硬さを包み込むように変形し、ぬちゅぬちゅと音を立てて吸い付いてくる。  柔らかい。だが、その奥には、しっかりと鍛えられた筋肉の芯がある。  なんという、アンバランスな……扇情的(せんじょうてき)な体だ。  私は、その感触を確かめるように、両手で臀部を大きく揉みしだきながら、埋め込んだモノで中の敏感な部分をグリグリと擦り上げて楽しんだ。  白く、形の良い肉が、私の指の間から溢れ、私の熱を受け止めて揺れる。 「あ……! ぁ、ん……!」  ドノバンはシーツを噛んで声を殺している。  顔が見えない背後から、男としての尊厳を弄ばれている屈辱。  その姿に興奮しながら、ふと、私の脳裏に、ある疑念が鎌首をもたげた。 (……よく、この体で、独り身でいられたな)  下戸で、甘党で、裁縫が得意で。  そして、こんな、男の私でさえ理性を保てなくなるほどの、隠された名器のような肉体を持っている。 (……たまらない弾力だ。抱く側の男を狂わせるためにあつらえたような体じゃないか)  この、筋肉と脂肪が絶妙なバランスで乗った分厚い体躯。抱き心地のいい体温の高い肌。  それに加えて、あの気さくで面倒見が良く、無防備に距離を詰めてくる人懐っこい性格だ。 (無防備すぎる。その距離感の近さが、どれだけ勘違いさせるか分かっていないのか? ……はっきり言って、そっちのケがある男にとっては垂涎の的だぞ)  いわゆる「男が好きな男」が好む要素の塊ではないか。  女性相手には、その風貌がハンデになったかもしれない。  だが、性格は誠実そのものだ。恋人がいないというのは、あまりにも不自然すぎる。 (これほどの極上の素材が、手つかずで残っているものか……?)  ……まるで、誰かが意図的に虫除けをしていたんじゃないか、と疑いたくなるほどに。  いや、手を出されなかったのは、彼が現役時代、誰も寄せ付けないほど強かったからだろうか。  だが、手を出さなかったからといって、「見ていなかった」わけがない。  もし。  もし、私があのスタンピードの日、この人の価値に気づく前から、誰かがこの体に目をつけ、狙っていたとしたら?  昼間、監視小屋の前で馴れ馴れしくドノバンに触れていた、あのDランクの若造の顔が浮かぶ。  ギルドマスター・コバムの、すべてを知っているような、あのニヤついた顔が浮かぶ。  私の知らないところで、誰かがこの背中を見つめ、酒に酔った頭で、あるいは薄暗い寝室で……私と同じように、この男を犯す妄想に耽っていたとしたら?  想像の中で、この柔らかい腰を掴み、泣かせていた奴がいたとしたら? 「…………ッ」  ぞわり、と。  背筋が凍るような、激しい焦燥感と、黒い嫉妬が、私の腹の底から湧き上がってきた。  熱い情欲が一気に冷え、代わりに冷徹な独占欲が座る。 (許さない) (絶対に、許さない。妄想の中だろうと、誰にも渡さない)  私の愛撫から、先ほどまでの「観察」するような余裕が消えた。  ドノバンの腰を掴む指に、ギリ、と力がこもる。  私は、彼の内側を埋め尽くしている楔を、警告のように深く押し込んだ。 「い……ッ! ん……!」  ドノバンが、その手つきの変化と容赦のない圧迫感に、痛みに近い声を上げる。  何かが変わった。  背後の男の呼吸が、荒く、そして(くら)くなっている。  野生の勘が警鐘を鳴らす。 「ドノバンさん」  私は、その(うなじ)に顔を埋め、低く、唸るように言った。  甘い声ではない。尋問する看守のような、冷たく鋭い声。 「あんた……本当に、無自覚なんですか?」 「……は? なに、を……っ、んぐッ!?」  言葉の途中で、私は腰を強く打ち付けた。  問いかけに対する答えを待つのではない。体でわからせる一撃だ。 「……周りの有象無象が、どんな目で見ていたか」  ズドンッ! 「あ゛ッ……!?」  私はドノバンの豊かな尻肉を指が食い込むほど強く鷲掴みにすると、今までの慈しむような愛撫を捨て、獣のように激しく腰を打ち付け始めた。  パンッ、パンッ、パンッ!  肉と肉がぶつかる乾いた音が連続して響き、ドノバンの巨体が波打つように揺さぶられる。 「こんなふうに……ッ!」 「あ、あ゛、あ゛ッ!? はげ、し……ッ!」 「想像の中で、あんたのこの体を貫いて、揺さぶって、汚そうとした奴がいないと言い切れますか?」  内臓を突き上げる衝撃と、屈辱的なまでに尻を振らされる感覚に、ドノバンの目が白黒する。  その純粋な困惑は、そんな目で見られているなど考えたこともないという無言の訴えに見えた。  だが、その無防備さが、今の私には腹立たしいほど危うく見えた。 「……そ、んなこと……知るか、馬鹿……ッ! 突く、な……ッ!」  ドノバンは、枕に顔を押し付けられ、激しく揺すられながら、途切れ途切れに反論しようとする。  私はそこで、ふっと激しい動きを止めた。  嵐が過ぎ去ったような静寂の中、最奥に楔を埋め込んだまま、ゆっくりと、ねっとりとした動きに切り替えて尋問を始めた。 「……あんた、酒が飲めないといっても、打ち上げや祝いの席には顔を出していたんでしょう?」 「は……? なんで俺が下戸だと……っ、あぅ! ……いや、まあ、付き合い程度には、行くが……」 「その時。他の男に、腰を抱かれたことは?」  私は、今まさに掴んでいる彼の腰に爪を立て、同時に、中の敏感な部分を抉るように擦り上げた。 「っ、い……! あッ、んぅ!!」 「答えてください」 「そりゃ、酔っ払いどもだぞ!? 寄っかかられたり、抱きつかれたりするくらい……ふ、つう、だろうが……ッ!」 「普通? ……腰ですよ? 狙っているに決まっているでしょう」  私はさらに深く、重く、腰をグラインドさせた。  甘い場所を執拗に攻められ、ドノバンの言葉が吐息混じりに崩れていく。 「考ぇ、すぎだ……ッ! ひ、ぅ……! た、ただの、支え棒扱い、だよぉ……ッ!」  ドノバンの必死の弁明は、私にとっては火に油でしかなかった。  この肉感的な腰を抱いて、ただの支え棒? ありえない。どさくさに紛れて感触を楽しんでいたに違いない。 「じゃあ、そういう男に……『この後、部屋で飲み直そう』とか、『休みたいから付き合ってくれ』とか。宿に誘われたことは?」 「……あー、ああ……んッ! ま、まあ……ある、ぅ……っ」 「ッ!? ……ちなみに。そういう不届き者は、どこのどいつですか?」  私が声音を一段低くして問うと同時に、ギリリと内壁を削るように先端をねじ込んだ。 「あぐッ!? げ、現役時代に……指導してやった、奴……で……っ」  ドノバンは息も絶え絶えになりながら、それでも正直に答えを紡ぐ。 「今はもうBランクで……っ、んぅ! み、三十路くらいの男だが……昔から俺に懐いてる顔見知りだぞ……不届き者じゃ、ねえよ……ッ!」  ――元・教え子。三十代。脂の乗ったBランク。  そして、「懐いている」という名の執着。  私の脳内で、見知らぬ「そいつ」への殺意が瞬時に沸騰した。  それはただの酔っ払いではない。ドノバンの過去を知り、指導という名目で距離を縮め、あわよくば師匠を食おうと虎視眈々と狙っているに違いない。 「……それに、俺は……っ、はぅ! 毎回、断ってる……」  ドノバンは、誘いを袖にしたことすら気づいていない。  だが、その無防備さが、いつかあだとなる可能性があったのだ。もし私が現れなければ、その「元教え子」がいつか強引に押し切っていたかもしれない。  想像するだけで、はらわたが煮えくり返るようだ。  私は、こめかみに青筋が浮かぶのを自覚しながら、震える声で最後の質問を投げかけた。 「……そういうことは、何度あったんですか」 「あ? えーと……そいつ、だけなら……たま、に、ある……か? あッ!?」  その答えを聞いた瞬間、私の中で「プツン」と何かが切れた。  この男は、その分厚い体躯と強さに甘え、自分が「抱かれる対象」として見られている可能性など、欠片も疑っていないのだ。 「……いい加減にしてください」  私の目が、ハイライトの消えた冷徹な色に染まる。 「え、おい、セルウィン……? な、中……キツ……っ」 「あんたが無防備に撒き散らしていた隙の数だけ……私が今から、上書きして消します」  私は、ドノバンの腰をさらに強く掴み、爪を食い込ませた。 「誰の妄想も、過去の誘いも入り込めないくらい、現実の私が、あんたを滅茶苦茶にしてやる」 「ッ……!」 「これから先も、絶対に許さない。私以外の誰かが、あんたのこの体に触れることも、目線で汚すことも、想像することさえも、許さない」  私は片手でドノバンの腰を固定したまま、もう片方の手で、新しい『高純度ヒーリングポーション』の小瓶を手に取った。  親指で器用に栓を弾き飛ばすと、私は結合部へと手を伸ばした。 「……あ、おい……何を……」  私の気配に、ドノバンが不安そうに首を巡らせようとする。  私は構わず、パンパンに張り詰めた結合部の隙間に、強引に指をねじ込んだ。 「ぎ、ぅッ!? 痛、なに入っ……!」 「力を抜いて。……もっと中をトロトロにしておかないと、私が満足するまで保ちませんからね」  私の肉竿だけで限界まで広がっている入り口に、さらに異物が割り込む。  ギリギリと皮膚が引き伸ばされる感覚に、ドノバンが悲鳴を上げるが、私は容赦なく指で隙間を作り――そこへ、小瓶の中身を一気に流し込んだ。  ドボ、ドボドボ……。 「ひぁッ!? つ、冷たッ……!?」  熱を持った胎内に、ひやりと冷たい液体が直接注ぎ込まれる。  その異質な温度差に、ドノバンの内壁が驚いてキュウゥッと収縮し、私をさらに強く締め上げた。 「ん、く……ッ! いい、締まる……」 「おまッ、それ……また!? 二本目だぞ!? 金貨が何枚飛ぶと……ッ!」  冷たさへの衝撃が過ぎ去ると、今度はその液体の正体――目が飛び出るほど高価なポーションを、ただの潤滑油として二本も浪費された事実に、ドノバンが貧乏性丸出しの悲鳴を上げた。  この状況で懐具合を心配するその器用さに、私は思わず呆れ、征服欲を掻き立てられた。 「……こんな時に金の心配ですか。安いもんですよ、あんたを朝まで壊さずに楽しみ尽くすためなら」  私は空になった瓶を放り捨てると、溢れる液体を指で押し込むようにして、ドノバンの腰を高く持ち上げた。 「あ……! ん、んん……!」  ドノバンは、次に何が起こるかを察知し、シーツを握りしめる力が強くなる。  冷たいポーションと、私の熱。そして抉るような指の感触。  すべてが混ざり合い、彼の理性を溶かしていく。 「覚悟してください。……逃がしませんよ」  私は腰を回すように動かし、硬く反り返ったカリの先端で、彼の敏感な核をグリリッ! と容赦なく抉り上げた。 「あ゛ッ!? ぎ、ぁ……ッ!!」  ドノバンの体が弓なりに跳ね、喉の奥から悲鳴のような喘ぎが弾ける。  内壁がキュウゥッ! と収縮し、私の竿を根元から締め上げるが、私は構わず、さらに深く、重く、弱点を擦り潰すように腰をグラインドさせた。 「……っ、ぐ……! ふ……!」  ドノバンは、枕に顔を埋め、声を殺そうとする。  だが、急所を直接抉られる刺激は、頭の奥を白く染めるほどの快楽と苦痛を伴って彼を襲う。  顔が見えない代わりに、背中から臀部、そして内側へと繋がる私の存在感が、より生々しく、暴力的に彼を支配していく。 「ドノバンさん。声、我慢しないで」  私は、ドノバンの広い背中に覆いかぶさり、その耳元で囁いた。  背中を合わせるように密着すると、二人の鼓動が直接響き合う。 「私だけに、聞かせろ。……あんたの情けない声を」  私は、ドノバンの腰を両手でガッチリと掴み、固定すると、もう手加減も、駆け引きも、すべてを捨てた。  ただ、欲望のままに。  弱点を的確に、激しく、深く、この男のすべてを奪うように、抉り突き始めた。 「あ……ッ! んぐ……! ぁああッ!!」 「はぁ……ッ、飲み込むのが、上手く、なりましたね……ッ!」  ズプッ、ズプッ、ズチュッ、パンッ! 肉と肉がぶつかる湿った音が、リズムよく闇夜に刻まれる。  ドノバンの頑強な体は、私の執拗な突き上げに翻弄され、荒波に揉まれる小船のように揺さぶられていた。  このまま、意識を刈り取るまで突き崩してやろうか。――そんな愉悦に浸っていた、その時だった。

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