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呆気なさに、しかし愛賀にとってはようやく離してくれた安堵もあったが、しばらく続きそうなあまりもの痛みに涙か溢れ、ふーっ、ふーっと吐いていた時、 「喉が渇いただろ。飲めよ」 と、水の入ったペットボトルを目の前に置かれた犬用のエサ皿に注がれ、差し出された。 普段からしている食事の仕方だ。慣れている。 それにただの水を飲むだけなら普段よりも断然に良い。 しかし今は喉を潤すよりも、横になって安静にしたかった。 客はそのような命令を下してない。だから、目の前に置かれたものを飲まなければならない。 しかし、この水は本当にただの水なのだろうかと不意に思った。 この日のために用意された真新しそうなエサ皿の底がはっきりと見えるぐらい透明な水。 だが、視認できないぐらいに何かが混ざっているかもしれない。 そんな先入観を抱いてしまうのは、普段の食事の影響だろう。 普段の食事は目に見えて分かるものではあるが、これは違うかもしれない。 そんな疑念を抱いた時、はたして飲んでもいいのかと思った。 けれども、家畜以下の愛賀が人間らしい疑いを持っていたとしても、飲むしか選択肢がない。 無駄なことを考えず、飲むために身を屈めた、その時だった。 「待て」 目の前で手で制される。 なにかいけなかったのだろうか。

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