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「じゃ、散歩するからな。ついてこいよ」 「⋯⋯っ!」 ぐんとリードを引っ張る。 眉を歪ませながらも、「う⋯わ、ふ⋯っ」と返事をし、そろそろとした足取りで付いて行った。 床は石でできたものらしいが、太ももまであり素肌で直接当たらないとはいえ、分厚くもないラバー素材のニーハイは犬のように四つん這いで歩いているうちに膝に痛みを覚えてきた。 まともなものを口にせず、自分でも見るからに痩せこけたことが要因であるかもしれないが。 「散歩、いいだろ。気分転換にもなって」 な、と言うようにリードを引っ張ってきた。 「⋯う⋯っ、わ、ふ⋯⋯っ」 強く引っ張らないで。ちぎれちゃう。 涙目になりながらも一生懸命鳴き、故意に足を速める客に何とか追いつこうとしていた。 風呂場付近からその真反対のベッドの向こう側へ回り込んだ時だった。 一際大きい腹の音が鳴った。 同時に来る襲いかかる激しい痛みに耐えきれず、思わず半身を屈め、無意識に上がっていた臀部を振った。 「なんだ、急にしっぽなんか振って」 「ふ⋯っう⋯⋯、ん⋯⋯っ」 訴えるように小刻みに震わせながらもしっぽを大きく振った。 「さっきから腹の音がうるさいが、腹が減ったのか?」 「うぅ⋯っんん⋯っ」 違うと首を横に振った。 ぐっぎゅるる⋯⋯と雷鳴のように激しく鳴る。 「腹じゃなければ、なんだトイレに行きたいのか? トイレに行きたいはそれじゃないだろ」 仰向けになり、見せるように大きく足を開いて、貞操具を両手でかく仕草をしろと呆れた口調で言う。 トイレと分かっているのなら、早く連れて行って欲しい。 それに今はちょっと動くことさえやっとな状況だ。 そんなことできない。

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