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肉のような味であり食べれなくはないが、とにかくパサパサとしていて口の中の水分が持っていかれる。
隣にある水の入ったエサ皿に顔を突っ込んで、客の目がないことをいいことに口でゴクゴクと飲んだ。
また排便させたいがために固形物を用意したらしいが、このままだと食べる気力がなく、水を先に飲み終えてしまいそうだった。
せめて風呂場に届く範囲だったら良かったのに。
そう思いながらも無理やりにでもドッグフードを食べようと口に頬張ろうとした、その時。
むずむずとし出した。
それは何なのかと思ったのも束の間、それが次第にむず痒さを覚え始めた。
その痒みはどこから来るのかと思い、それらしい足の間の方に手を伸ばすが、細かいものを握るどころか触ることが出来ない犬の手袋をされるためにその痒みの原因を探ることが出来なかった。
しかしこの間も痒みが強くなり、どうしようもできないのに両手でかく仕草をしていた。
何故こんなに急に痒みが現れたのか。
食べたドッグフードに媚薬でも入れていたのか、それとも潤滑剤だと思っていた液体に媚薬が入っていたのか。
しかし今の愛賀はそれらを追求するよりも、この痒みを解消したくて仕方なかった。
痒いのはどこ。掻きむしりたい。
痒い痒い、かゆいかゆいかゆい⋯⋯⋯っ。
触ることが出来なくてもどかしい。この痒みは自分ではどうすることが出来なくて悔しい。
痒くて仕方ない。どうしたらいい。
がむしゃらに触っても何も無い空間を掴むような無意味な作業で、その歯がゆさが涙となって頬を伝った。
こんな些細なことさえ誰かの命令が下りないと安易に触ることさえ出来ない。
早く帰ってきて。帰ってきてください。
どんなお仕置きも受けますから。
俊我さん──⋯⋯。
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