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すぐにそうだと気づけなかったのは、そうするとは思わなかったのもあるが、窮屈な僅かな穴から蛇口を緩く捻った時のような少量の尿が自分の意思とは関係なく出ていたからだ。
「お前何勝手に出してんだ。俺がここでしていいとは言ってないだろ」
「うぅ、う⋯⋯ん」
「ったく、手間を掛けさせやがって」
悪態を吐いた客は棒を床に投げ捨ててはその場に立ち上がった。
今度こそぶたれると目をきつく閉じた愛賀だったが、客は愛賀の横を素通りした。
どうやら風呂場の方へ行ったらしい。
何故なのだろうとその後ろ姿を目で追っていると、すぐに戻ってきた。
脱衣場に行った客の手には、臀部を洗った際に拭いたタオルを持っていた。
愛賀が粗相してしまったものだから、それで拭こうとしたのだろう。
手間を掛けさせてしまったと後悔を募らせていると、そのタオルを濡れたところに放った。
すぐ拭く様子ではない客のことを見上げていると、目が合うなりこう言った。
「四つん這いになって尻を高く上げろ」
結局は愛賀がしたものだから、自分で後始末をしろということなのか。
「わふ⋯」と返事をし、その場で四つん這いとなり、臀部をこれでもかと上げた。
すると客は後ろに回り込んで、バッグを何かを探っているようでがさごそさせていた。
その中から取り出した物を身に付けられている愛賀だったが、今の状況だと痛めつける物なのかもしれないと思うと、その音が恐怖と不安に変えさせ、人知れず震わせた。
「自分でやったことなんだから、拭いておけよ」
バッグから取り出したのだろう。パシパシと軽い音を立てながらそう命令した。
背後にいるためにその音の正体が分からないために不安を加速させ、心臓がバクバクと鳴り出す。
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