5 / 18

第5話本当に食うのか?

 東の空が明るくなり、もう間もなく日が昇るという頃。  焚き火がいつの間にか消えている事に気付き、カイは目を覚ました。  スノウとララと一緒に毛布に包まっていたせいか、安心し過ぎてしまったようだ。  普段のカイなら、もっと気を張り詰めているのに。  モゾモゾと動き始めたカイに気付いたのか、スノウとララも目を覚ました。 「おはよう、カイ」 「うん、おはよう」  両腕を持ち上げスノウは背伸びをしている。  夜も明けた事だ。獣避けの焚き火は必要ないだろう。  そうカイが判断した時だった。  ビュウーと上空から強い風を感じて空を見上げると、大きな鳥の影が見えた。 「キュー!」  警戒したララがカイの胸元に潜り込む。 「ロック鳥だ!」  狼の耳をピンと尖らせたスノウが、荷袋の中からボウガンを取り出す。  スノウがボウガンを構えるよりも早く、カイは空に向かって杖を掲げた。  「撃ち落とす」  カイが呟いた途端、地表から空に向かって雷が放たれる。  空を切り裂く稲妻は、怒号を上げながら巨大な鳥に直撃した。  カイの雷魔法で感電したロック鳥は、動きを止め上空から一気に落下する。  このまま地表に叩きつけられると思ったロック鳥だが、地面に激突する寸前に再び大きな翼で羽ばたいた。  カイは土魔法で土塊をゴーレムの腕に変え、上空に飛び上がろうとするロック鳥を捕らえる。  暴れるロック鳥に向かって、スノウが魔法剣を構えた。  ゴウッとスノウの手から炎が立ち上り、魔法剣が炎を纏う。 「スノウ、焼き尽くせ!!」  砂塵を巻き上げる勢いで、スノウが素早く魔法剣を振り下ろす。  剣圧から炎が放たれ、勢いよく爆ぜた。  その瞬間、ロック鳥は炎に包まれる。 「凄い……もう火を飛ばせるようになるなんて」  昨夜カイが教えたばかりなのに、スノウはもう火炎魔法を操る精度を上げていた。 「こう見えて本番に強いのよ。俺、実戦向きでしょ?」  自慢げにスノウは微笑んだ。 「……これ……本当に食うのか?」  丸焼きになった巨大なロック鳥の前で、カイは眉間に皺を寄せ、渋い顔をしている。 「せっかく焼き鳥にしたんだからさ、食べてみようよ」  スノウは楽しそうに荷袋の中から、塩と胡椒を取り出した。 (こういう所、スノウは野性的なんだよな……準備が良すぎる)  携帯食は大事に残しておいて、足りない食料は現地調達するなんて……  カイには真似出来ない。 「ほら、カイの分」  切り分けられたロック鳥の肉を見て、カイは微妙な表情を浮かべたが。  思っていた以上に香ばしい匂いがして、口に入れてみた。 「……美味しい……」 「ね、大丈夫でしょ? 塩と胡椒をかければ、たいていの物は食べられるよ」  豪快に肉を頬張るスノウを見て、カイもようやく笑みを浮かべた。  巨大なロック鳥の肉は、二人で食べるには量が多すぎる。 「取り敢えず持っていける量だけ取って、残りは処分しよう。放置すると、魔物や肉食の獣を呼び寄せちゃうから」  荷袋にロック鳥の肉をしまうスノウが、そう口にした。 「だったら、このまま埋めてしまおう」  カイは地面からゴーレムの腕を生やすと、ロック鳥の体を掴み一気に地面の中へと引きずり込む。 「カイったら、ワイルドだねぇ〜」  感心するスノウに、カイは自慢げにフフンと笑みを浮かべた。            

ともだちにシェアしよう!