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第5話本当に食うのか?
東の空が明るくなり、もう間もなく日が昇るという頃。
焚き火がいつの間にか消えている事に気付き、カイは目を覚ました。
スノウとララと一緒に毛布に包まっていたせいか、安心し過ぎてしまったようだ。
普段のカイなら、もっと気を張り詰めているのに。
モゾモゾと動き始めたカイに気付いたのか、スノウとララも目を覚ました。
「おはよう、カイ」
「うん、おはよう」
両腕を持ち上げスノウは背伸びをしている。
夜も明けた事だ。獣避けの焚き火は必要ないだろう。
そうカイが判断した時だった。
ビュウーと上空から強い風を感じて空を見上げると、大きな鳥の影が見えた。
「キュー!」
警戒したララがカイの胸元に潜り込む。
「ロック鳥だ!」
狼の耳をピンと尖らせたスノウが、荷袋の中からボウガンを取り出す。
スノウがボウガンを構えるよりも早く、カイは空に向かって杖を掲げた。
「撃ち落とす」
カイが呟いた途端、地表から空に向かって雷が放たれる。
空を切り裂く稲妻は、怒号を上げながら巨大な鳥に直撃した。
カイの雷魔法で感電したロック鳥は、動きを止め上空から一気に落下する。
このまま地表に叩きつけられると思ったロック鳥だが、地面に激突する寸前に再び大きな翼で羽ばたいた。
カイは土魔法で土塊をゴーレムの腕に変え、上空に飛び上がろうとするロック鳥を捕らえる。
暴れるロック鳥に向かって、スノウが魔法剣を構えた。
ゴウッとスノウの手から炎が立ち上り、魔法剣が炎を纏う。
「スノウ、焼き尽くせ!!」
砂塵を巻き上げる勢いで、スノウが素早く魔法剣を振り下ろす。
剣圧から炎が放たれ、勢いよく爆ぜた。
その瞬間、ロック鳥は炎に包まれる。
「凄い……もう火を飛ばせるようになるなんて」
昨夜カイが教えたばかりなのに、スノウはもう火炎魔法を操る精度を上げていた。
「こう見えて本番に強いのよ。俺、実戦向きでしょ?」
自慢げにスノウは微笑んだ。
「……これ……本当に食うのか?」
丸焼きになった巨大なロック鳥の前で、カイは眉間に皺を寄せ、渋い顔をしている。
「せっかく焼き鳥にしたんだからさ、食べてみようよ」
スノウは楽しそうに荷袋の中から、塩と胡椒を取り出した。
(こういう所、スノウは野性的なんだよな……準備が良すぎる)
携帯食は大事に残しておいて、足りない食料は現地調達するなんて……
カイには真似出来ない。
「ほら、カイの分」
切り分けられたロック鳥の肉を見て、カイは微妙な表情を浮かべたが。
思っていた以上に香ばしい匂いがして、口に入れてみた。
「……美味しい……」
「ね、大丈夫でしょ? 塩と胡椒をかければ、たいていの物は食べられるよ」
豪快に肉を頬張るスノウを見て、カイもようやく笑みを浮かべた。
巨大なロック鳥の肉は、二人で食べるには量が多すぎる。
「取り敢えず持っていける量だけ取って、残りは処分しよう。放置すると、魔物や肉食の獣を呼び寄せちゃうから」
荷袋にロック鳥の肉をしまうスノウが、そう口にした。
「だったら、このまま埋めてしまおう」
カイは地面からゴーレムの腕を生やすと、ロック鳥の体を掴み一気に地面の中へと引きずり込む。
「カイったら、ワイルドだねぇ〜」
感心するスノウに、カイは自慢げにフフンと笑みを浮かべた。
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