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第14話白狼の王と魂魔石

 ソーンとセリアン、そして白狼の一族達と別れた帰り道、ヴェルグラスの町へ戻りながらカイはポツリと呟く。 「本当に……白狼の一族を捨ててしまって良かったのか?」 (スノウは俺が群れだと言ったけれど……)  縋るような眼差しで、カイはスノウを見つめた。  スノウは不思議そうにカイを見つめ返す。 「捨てたりしてないよ?」 「え?」 「俺は誰も捨てたりしない」 「……でも」  カイが不安に思う気持ちが伝わったのか、スノウは穏やかに微笑む。 「カイはたぶん、人間の王をイメージしていると思う」 「違うのか?」 「違うよ。白狼の一族にとっての王は、群れを導く者。野生の狼の群れと同じように、俺達の一族は元々狩猟しながら旅をしていたんだ。スカフレンニグルに定住するようになったのは、俺の祖父の代からだと聞いている」 「……狼の群れ……」 「そう。狼の狩りがイメージしやすいかな? 獲物を見つけ、群れを導き狩猟する狩りのリーダー。それが王。白狼の一族の王は、国を持たない。小さな家族という群れの集合体を導く者。だから番という家族がいる場所が王の群れ。俺がカイの側にいることは当然だよ」 「家族が……群れ……」 「白狼の一族は国を持たないから。場所に縛られたりしない。どこに居ても、群れの一員である事に変わりはない。たぶん俺の王としての役目は、父さんの呪いで獣に変えられた皆を、元の姿に戻す事だったんだと思う。全てはカイのおかげだよ。カイ……ありがとう」  カイは照れくさそうに俯く。 「礼を言われる程の事はしていない。俺はただ……仕事をしただけだから」  カイは胸元のポケットに収まるララが、隠すように大事に抱えている魂魔石(ソウルイーター)を見つめる。  ララはカイが魂魔石(ソウルイーター)の記憶に囚われないように、守っているのだ。 「俺の方こそ……一族の魂魔石(ソウルイーター)を取り戻す事が出来た。きっと記憶の持ち主は、安心して眠ってくれると思う」 「……そうだね。きっとカイが持っていた方が良い。もう誰にも狩られる事はないから……」  ヴェルグラスの町に入る直前、カイは宵闇の精霊狐の特徴である九本の尾を隠そうと、ララに残された人工魔石を砕くように頼んだ。  魔力がある程度戻れば、目眩ましの魔法を維持できる。 「ララ、人工魔石を砕いてくれ」 「キュウ」  任せろと言いたげに、コートのポケットの中でララが声をあげた。 「キュキュ?」 「どうした? ララ」  カイがポケットの中を覗き込もうとした時だった。  ララが抱えていた魂魔石(ソウルイーター)が、突然光を放つ。  煌めく光はカイを包み込み、やがて静かに光は消えた。 「魔力が……戻ってる」  驚きながらカイは目眩ましの魔法を発動した。  隠された狐の耳と九本の尾を見て、スノウが微笑んだ。 「カイの気持ちが魂魔石(ソウルイーター)に伝わったんじゃないかな? 」 「そうかも知れない……そうだったら……良いな……」    

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