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第6話

教室の隅で 彼が誰かと話しているのを眺めていた時間。 近づく理由も、離れる勇気もなかった。 「お前は、変わったよ」 ようやく絞り出すと 彼は一瞬目を丸くした。 「そう?」 「…大人になった」 それ以上は言えなかった。 大人になった、なんて言葉は 褒め言葉にも、距離を置く言い訳にもなる。 「まぁな」 彼は肩をすくめる 「色々あったし」 色々… その中に、何人の名前があったか 考えなくてもスマホの画面が思い出させる。

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